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アパートやマンションの退去時の現状回復費の相場は?掃除は必要?5つの疑問を解説

アパート退去

アパートやマンションの退去時、気になるのが退去費用(原状回復費の発生)ですよね。退去までのお部屋での過ごし方や掃除の内容等によっても、アパート退去時の原状回復費は大きく変わってくることもあります。

アパート・マンションの退去時の費用を抑えるためにも、思わぬトラブルを防ぐためにも、ある程度の基礎知識は知っておいた方が良いでしょう。ここでは「原状回復費とは」「かかる費用の相場は」「掃除はどの程度必要か」など、アパート・マンションの退去時によくある質問を詳しく解説していきます。

原状回復費用とは?敷金から払うもの?

「原状回復費」とは、賃貸物件を退去する時に「借りたときと同じ状態にして返す」ために必要となる費用のことを言います。例えばハウスクリーニング代や、壊れた箇所の修繕費等が原状回復費となるわけです。

借り主が負担する原状回復費は、原則として「入居時に払った敷金から支払う」という仕組みになっています。

もしも原状回復費が敷金の範囲内で収まり、余りが出る場合には「敷金の返還」という形でお金が借り主に戻ります。原状回復費が敷金の範囲内で収まらない場合には、貸主(大家さんや不動産管理会社)から借り主に対して追加での請求が行われることもあります。

敷金10万円で原状回復費30,000円の場合 7万円が借り主に返還
敷金10万円で現状回復費(貸主負担)15万円の場合 5万円が貸主に追加請求

原状回復費は借主が払う?負担責任の割合とは

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン国土交通省:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(PDF)

アパート・マンションの退去時の原状回復費をどこまで借り主が負担するのか?という問題については、かつては法律上での明文化がされておらず、多くのトラブルが起こりました。

この状況を鑑みて、2020年4月に施行された改正民法や、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」等がまとめられ、ルールが明文化されるようになりました。

賃貸物件退去時のすべての汚れや傷を借り主(入居者)が負担するわけではなく、経年劣化や通常損耗については原則として貸主の費用負担と考えられるようになったのです。

貸主負担となる経年劣化・通常損耗の例

では借り主(居住者)が払わなくて良い「経年劣化(けいねんれっか)」「通常損耗(つうじょうそんもう)」とはどんなものでしょうか。経年劣化とは時間が経つことで品質が低下すること。また通常損耗とは、部屋をごく普通に使っても発生する傷のことを言います。

カンタンに言うと、「どんなに気をつけて使っても必ず劣化する・汚れるもの」については、借り主は費用を払わなくても良いということです。

畳やフローリングの日焼け

いくら気をつけても畳やフローリングの日照による変色は防げませんから、費用は借り主負担となります。

ベッドやソファを置いたことによる凹み・傷

家具を置くだけでも凹みや傷は生まれるので、これは大家さん側の負担です。ただし「模様替えの時に重い家具をズルズル引っ張って大きなキズを付けた」といったことになると、過失による借主側(居住者)の負担となります。

借り主が払う原状回復費用の例

反対に貸主側(居住者側)が負担する原状回復費にはどのようなものがあるのでしょうか。

タバコの匂いや変色

タバコのヤニによる天井や壁の変色(黄ばみ)や、タバコによる匂い等。すべて借主側の責任となります。

掃除を怠ったことによる詰まりやカビ・サビ

水回りの詰まり、カビの発生、サビの発生等は、居住者が基本的なメンテナンス(掃除)を怠ったことによるものと判断されるため、居住者側の負担となります。

雨の降り込みによる変色

窓を開け放しておいて大雨が降り込み、壁が変色した…これも居住者側の過失による負担です。

床・カーペットのシミ

飲み物などをこぼしてしまい、掃除が不十分で汚れが残ったりシミになった場合には居住者側が除去費用を負担します。

ペットの飼育による傷や匂い

ペット関連の傷や匂い、汚れ等は、ほぼすべて居住者側の負担となります。

落書きや大きな傷

壁や床等への落書きや自分では戻せない塗装、過失などによる大きな傷や凹みなどがある場合には、居住者側が除去費用・原状回復費を負担します。

賃貸借契約書の特約を確認!

上記で案内した原状回復費用の負担割合は、一般的な賃貸借契約に基づいたものです。賃貸借契約の内容によっては、契約書でクリーニング等の「特別の負担」を課す特約が設けられていることもあります。

【特約の例】
下記の通常損耗・経年変化の修理費用については、入居者が負担とする。

  • 室内全体のクリーニング費用25,000円
  • 鍵交換費用10,000円
  • 台所・トイレ・風呂の消毒費用15,000円

このような負担内容・金額についての特約が設けられた上で契約締結をしている場合には、居住者は特約の定めに従ってクリーニング費用などを支払わなくてはなりません。

まずは入居時の賃貸借契約書等をよく確認することが大切です。

退去時の原状回復費、相場はいくら位?

エアコンクリーニング
アパートやマンションを退去する際の原状回復費は、「間取り」「物件のランク」「汚損の程度」等の要素で大きく変わります。そのため「退去時の相場がいくらか」と一概に案内するのは難しいのですが、一般的な費用相場について見ていきましょう。

ハウスクリーニングの費用相場

ハウスクリーニングとは、賃貸物件を専門業者がキレイに掃除することを言います。上でも解説しましたが、賃貸借契約の特約において「退去時のハウスクリーニング代は借主が支払う」と定められている場合は、居住者がハウスクリーニング代を支払います。

また明け渡し時の掃除が明らかに行き届いておらず「通常損耗の範囲内」を超過する場合等にも、クリーニング代が求められることがあります。

1R・1Kの場合 20,000円~30,000円
1DK・1LDKの場合 25,000円~45,000円
2DK・2LDKの場合 35,000円~55,000円
3DK・3LDKの場合 60,000円~85,000円
4DK以上 75,000円~

壁・天井張替えの費用相場

一般的な壁紙(クロス)の場合、1メートルあたりの費用は1,000円前後で済みます。ただし高級マンション等で壁紙クロスが特殊な場合等には費用が嵩むこともあるのでご注意ください。

1メートル四方あたり 1,000円~2,000円
6畳の部屋の壁の全面張り替え 40,000円~50,000円
壁の下地ボード取替 30,000円~60,000円

なおタバコを吸っている場合、壁だけでなく天井の張替えも必要となるため、費用が高くなります。

床の張替え・汚れの除去費用相場

コーヒーやジュース等のシミが取れなかったり、タバコの焼け焦げ跡などがある場合には、居住者が張り替えや床材の汚れ除去の費用を負担します。

床材の汚れクリーニング 10,000円~25,000円
床材の張替え 1枚あたり8,000円~10,000円
フローリング張替え 80,000円~140,000円

床材は「その部分だけを取り替える」という作業が難しいため、たとえ数センチのシミでも費用が高くなりがちです。洗剤等で落とせる場合には費用がやや安くなります。

水垢・カビの汚れ除去費用相場

水垢やカビが大量にこびりついていると除去作業が必要になります。

浴室のカビ 10,000円~20,000円
トイレの水垢・カビ 6,000円~10,000円
窓枠のカビ 10,000円~20,000円

油汚れの除去費用相場

キッチンの油汚れ掃除は、ふだん料理をしていない場合や、日頃からキレイにしていればほとんど不要ということも。しかし掃除やフィルター張り等を怠ってしまうと、汚れの除去費用が嵩んでしまいます。

レンジ周り・換気扇掃除 15,000円~25,000円

【地域や物件ランクで費用は変動する】
実際のクリーニング費用・原状回復費は、地域の業者の価格や物件のランクによっても変わります。

例えば高級賃貸マンションや一戸建て型の賃貸物件等の場合、張替えクロスの費用が高かったり、一部だけの壁張替えができないケースもあります。上でご紹介した原状回復費の相場は、あくまでも一例として参照してください。

賃貸物件の退去時には掃除は必要?

結論から言うと、賃貸アパート・マンションの退去時にはできるだけ居住者側が掃除をしておいた方が良いです。

「どうせ業者にクリーニングさせるのだから、掃除をしてもしなくても同じ」と考える人も多いのですが、そうとは言い切れません。掃除をキチンと行うことで、次のようなメリットが出てくることも多いんですよ。

  • 状態によってはハウスクリーニングなしを了承してもらえる
  • カビ・水垢等へのチェックがゆるくなりやすい(原状回復費用が少なくなる)
  • 万一のトラブル時にも「キレイに部屋を使っていた証拠」となる

まったく掃除をしないで明け渡しをすると、不動産管理会社や大家さんへの心証は良くありません。「これだけ汚い=普段のメンテナンスが行われていなかった」と捉えられ、劣化に対するチェックも厳しくなります。

ルールとして明文化されているわけではありませんが、次の方への明け渡しモラルとしても、掃除はキチンと行っておいた方が良いでしょう。掃除をするポイントとしては、次のような点が挙げられます。

キッチン周りの油汚れ

  • コンロ周辺の油ハネ、汚れ
  • 換気扇の汚れ
  • 壁・床のベタつき 等

確実に細かくチェックされる場所なので、徹底的に掃除をしておきましょう。なお「全く料理をしない」という場合でも、タバコを吸っていると換気扇がヤニで汚れていることがあるのでご注意ください。

風呂・トイレの水回り汚れ

  • 水垢取り
  • カビ取り
  • 詰まりの除去

カビ取り等は専用の洗剤を使用しましょう。詰まりは軽いものであれば、パイプクリーナー等で除去することができます。蛇口等の水垢はクエン酸等の酸性のもので掃除するとキレイに取れますよ。

ベランダの掃除

  • 掃き掃除
  • コケ等の除去
  • 排水溝の掃除

ベランダは見落としがちですが、パッと見た時に汚れていると「掃除が行き届いていない」と見られやすいです。コケは熱湯等で除去を。また排水口の詰まりの原因となるゴミなどは丁寧に取り除いておきましょう。

窓の掃除

  • 窓ガラス拭き
  • パッキンの汚れ除去
  • カビのチェック

窓をキレイにしておくと「丁寧に掃除をしてある」という印象を付けやすいです。ただしガラスに傷をつけると大きなマイナスになるため、その点には十分に注意しましょう。

退去時に遺品整理業者に依頼した方が良い?

近年では、賃貸物件の退去時に専門の遺品整理業者に依頼をする人も増えています。どのような時に遺品整理業者に頼ると良いのでしょうか。

ゴミ屋敷状態の場合

「部屋がゴミで溢れている」「どこから掃除をしたら良いのかわからない……」このような状態では、一般的なハウスクリーニング業者では片付けができないケースが多いです。

しかし遺品整理業者であれば、部屋の中にあるものの分類や、大量の不要品の運搬等にも慣れています。ゴミ屋敷・汚部屋状態でも、キレイに片付けることが可能です。

生前整理をしたい場合

ご高齢の型が介護施設やケアハウスなどに引越したり、通院等のためにより便利な場所に住み替えされる場合、引越しの際に生前整理のために不要なものをたくさん処分したいケースが多く見られます。

遺品整理業者は、亡くなられた方の遺品を片付けるだけでなく、生前整理のお手伝いをすることも可能です。プロの手を借りることで、ご高齢の方もスムーズに生前整理を行えます。

 

孤独死・事故死の場合

居室内で死亡された場合、一般的なクリーニングのみならず、血液等の汚れを除去する特殊清掃が必要になります。最近では特殊清掃と遺品整理の両方を行える専門業者も登場するようになりました。

ご家族・ご親族が孤独死や御部屋の中で事故死された場合等には、このような専門業者に相談するのも良いでしょう。

 

遠方の家族を手伝えない場合

核家族化が進む中、親や祖父母が単身で独居しているというケースはとても多くなっています。

「家族の引越し前の片付けを手伝いたいけれど、家が遠くて難しい」という人も多いのではないでしょうか。遺品整理の専門業者であれば、離れた場所に住むご家族の片付けのお手伝いをすることもできます。また片付け内容等も細かく報告をして貰えるので、お手伝いに行けない方も安心です。

おわりに

アパート・マンション等退去時の原状回復費の相場や、掃除についての情報はお役に立ちそうですか?賃貸物件の退去時における借主側・貸主側のトラブルは、最悪の場合だと裁判等に発展してしまうこともあります。

トラブルになることを避けるためにも、できるだけキレイにした状態で不動産管理会社や大家さんに明け渡しをすることが大切です。

 

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