家族や親族が亡くなった時、また、自分の今後を考えて、できるだけ良い葬儀社を選びたい…と思う方は多いことでしょう。しかしAさんには「良い葬儀社」であっても、Bさんには不満足だったというケースは多々あります。ご自身が満足の行く葬儀にするためには「自分達に合った葬儀社を選ぶこと」が最も大切なのです。
自分に合った葬儀社を選ぶには、どのような点に気をつければよいのでしょうか?ここでは葬儀社選びのポイントや、選び方のチェックリストをご紹介していきます。
目次
良い葬儀社選びのコツは「重視点」の絞り込み
葬儀社選びを始める前に、まずは自分やご家族が葬儀で重視するところはどこなのだろう?という点をしっかりと絞り込んでおくことが「自分に合った葬儀社選び」の大切なポイントです。
例えば旅行で泊まる宿泊施設を決める時も、値段を重視する方もいれば、お部屋からの景観やインテリア、はたまた立地の便利さを重視する方も居ますね。それと同じで、葬儀についても「どこを重視するのか」で選ぶべき葬儀社は変わってくるのです。
【葬儀の充填ポイント】
A)葬儀形式への対応
B)対応エリア・地域性
C)サービスとマナー
D)値段・料金システム
葬儀でどこを重視するかは人によって違いますが、大きく分ければ上の4つに分類できます。それぞれの詳細を見ていきましょう。
A.葬儀形式への対応
どのような葬儀を行いたいのかはもう決まっていますか?「葬儀」と一口に言っても、実はその形式・様式は様々です。希望する葬儀形式が定まっている場合、まず「葬儀会社のその葬儀形式への対応」を確認する必要があります。
【葬儀形式の大まかな種類】
- 一般葬:家族や身内の他、知人、会社関係者、近隣の人々等も参列するタイプの葬儀。昭和から受け継がれる最も一般的なタイプであるため「一般葬」と呼称します。原則として1日目に通夜、2日目に葬儀・告別式・火葬を執り行います。規模は様々です。
- 家族葬:家族や親族、親しい友人や知人等が参列する、一般葬より小規模なスタイルの葬儀です。参列人数はご家族にもよりますが、5人程度~20人程度までというのが一般的です。原則として1日目に通夜、2日目に葬儀・告別式・火葬を執り行います。
- 一日葬:通夜を省略し、1日で葬儀・告別式・火葬を行うスタイルの葬儀です。家族葬よりもさらに略式かつコンパクトなスタイルであり、参列者は主に身内のみ数名となるケースがほとんど。自殺・事故死等でひっそりと葬儀を行いたい場合等にも選ばれます。
- 直葬・火葬式:通夜・葬儀・告別式は無しで、火葬前に簡略化した故人とのお別れを行うスタイルです。元々は「葬儀形式」には含まれませんでしたが、近年、葬儀料の支払いが難しい親族等からの需要が増え、ネット上でプラン公開する葬儀社も増えています。ただし、菩提寺から納骨を断られることがあるリスクや、周囲の理解が得られないといった問題点も見られます。
葬儀社の得意な葬儀形式は?
葬儀社によって、得意とする葬儀形式は少しずつ違います。「一般葬ができない」という葬儀社はありませんが、例えば大きなお寺を借り切り、数百名規模の参列者が見込まれるような大規模な葬儀を予定されるのであれば、スタッフ数の多い大手葬儀社を選ばれた方が安心でしょう。
また反対に近年では、家族葬や一日葬等のコンパクトなスタイルを「強み」として押し出している葬儀社も登場しています。元々が家族葬希望なのであれば、家族葬プランが充実している社を選ぶのも手ですね。公式サイト等を閲覧し、各社が「強み」としているプランがどこなのかをチェックしてみると良いでしょう。
オリジナルな希望に対応できるか?
「白い花ではなく好きだったピンクの花だらけにしたい」「音楽葬で送り出したい」等、独自の方法を求める方もいらっしゃいますね。オリジナリティある葬儀を希望する場合、葬儀社での対応可否やその内容をよく確認しておきましょう。サイト上では「対応可能」としていても追加料金が非常に高かったり、制限がかかる場合もあるので詳細を電話等で確認することをおすすめします。
B.対応エリアと地域性
葬儀を希望しているエリア、おおまかな葬儀会場(菩提寺や斎場)等は決まっていますか?葬儀社の対応可能なエリアは、その社の規模、スタッフ数等によっても変わってきます。
小規模社の対応エリアは狭め
小規模な葬儀社の場合、広範囲でのエリア対応が難しいケースも多く見られます。亡くなった場所と葬儀を執り行いたい場所が遠い場合等には、対応エリアが広い葬儀社を選んだ方が安心です。
提携外斎場は追加料金となることも
葬儀社によって、提携している斎場・葬儀会場は異なります。提携外斎場の場合、追加料金となる社もあります。希望する斎場だけは決定しているという場合、その斎場に問い合わせ、提携葬儀社や運営葬儀社を教えてもらうのも手です。
一般葬は地域ルールに注意
葬儀の執り行い方やマナーは、地域によって少しずつ異なります。例えば北海道の場合、香典は受付で香典袋の中身を確認し、領収書を発行するのが一般的です。本州の方は驚きますが、これが「地域ルール」というわけです。
特に一般葬で、ご親族・会社関係の皆様、近隣の方などに多数ご参列いただくスタイルの場合、できるだけ地域ルールに強い葬儀社を選んだ方がトラブル等も予防でき、安心です。
C.サービスとマナー
葬儀は故人を送る大切な儀式です。また同時に、親族の方々、生前に親しかったご友人・知人の皆様、会社関係の方々、近隣の皆様など、多くの方に足を運んでいただく場でもあります。
葬儀スタッフが正しい葬儀マナーを熟知しているだけでなく、心のこもった誠意ある姿勢で故人や参列者に応対できるか、品位ある態度であるかどうか…この点を重要なポイントと考える方も多いことでしょう。また、ご遺体への対応技術等についても葬儀社により違いはあります。
資格者数や評価基準をチェック
葬儀関連の資格としては、葬儀の運営・進行で必要な知識や技術を有することを示す資格である「葬祭ディレクター」や「仏事コーディネーター」「仏教葬祭アドバイザー」があります。
また葬儀社の格付け評価であるJECIA、国際規格のISO9001の取得業者等も、評価獲得に熱心な企業であれば行っていることでしょう。有資格者の数や評価基準等をチェックしておくのも良い手です。
エンバーミング・エンゼルメイク
エンバーミングとは、ご遺体に防腐・修復処理やお化粧をほどこし、生前のお姿に近づけていくための技術のことを言います。エンゼルメイクはいわゆる「死化粧」で、ご遺体にお化粧をほどこし、穏やかな姿を皆様に見ていただくための技術です。
ご遺体の損傷度や闘病の度合い等によっては、エンバーミングや高度なエンゼルメイクを施した方が良いことも。エンバーミングには専用施設が必要となるため、対応できる葬儀社が絞られます。
D.値段・料金システム
葬儀社選びの際に「葬儀の料金をできるだけ抑えたい」といった点を重視したい方も多いことでしょう。また「一般葬で送り出したいけれど、費用が払いきれるか心配」という人もいるのではないでしょうか。各葬儀形式の相場を押さえて比較をするだけでなく、次のような点をチェックしておきたいところです。
追加料金の発生を確認する
公式サイトのプラン料金だけを比較して「値段が安いところ」を探してはいないでしょうか?葬儀プランに含まれるサービス内容は葬儀社により大きく異なりますので注意が必要です。
【オプションになりやすい点】
以下のような点はオプションサービス扱いとなるのが一般的です。
- ご遺体の搬送費:病院から安置所までの搬送料金。距離に応じて料金加算となります。会社によっては深夜早朝割増がつくことも。
- ご遺体の安置費用:安置施設でご遺体をお預かりするための費用です。斎場の予約がなかなか取れない場合などには数日安置となる場合もあります。おおむね1日10,000円前後ですが、これも会社によって料金システムは異なります。
- 棺:通常プランだと白木合板が一般的で、布貼り・無垢等だと料金が上がります。
- 提携外斎場での葬儀:提携外の場合だと料金プランより割高となる業者が多いです。
- 当日になっての参列者の増員:特に家族葬・一日葬等の場合、参列者が増えると会場変更等が必要となることも。定員越えで一気に料金を上げる業者もあります。
激安価格を提示する葬儀社の場合、これ以外にも様々なサービスが「オプション扱い」になっていることがあります。当日になってから「あれもオプション」「これもオプション」と言われた結果、「他社の方が安かったかもしれない」とならないよう、内容をよく確認しておきましょう。
料金支払方法・期日を確認する
葬儀の料金支払は現金支払が一般的です。しかし最近では、クレジットカード払いやコンビニ支払い等に対応する葬儀社も増えてきました。また葬儀社の中には、葬儀ローン(12回払い~36回払い等)に対応するところもあります。
また、葬儀料金の支払いは告別式(または火葬)終了後に行うのが一般的ですが、これも一週間程度までは待ってくれる葬儀社もあります。突然の葬儀で手持ちが少ない場合、高額支払いが難しい場合には、このような対応ができる葬儀社を選ぶのも良いでしょう。
自分の目で!葬儀社選び8つのチェックポイント
「自分は葬儀のこの点を重視したい」というポイントが決まると、気になる葬儀社の数もだいぶ絞り込めてきたのではないでしょうか。今度はその数社に同条件で見積もりを出してもらって、内容や料金を比較してみましょう。
また、その際の葬儀社の対応について、以下の点を自分の目でチェックしてみましょう。良心的な会社なのかどうかを判断する材料となるはずです。
1.担当者が電話または対面で対応するか?
事前の問い合わせ対応がメールやLINEばかりで、実際の葬儀にならないと担当者と電話での対話や顔合わせできないような葬儀社は避けた方が良いです。担当者がクルクル変わるようなところも不信感が高いですね。
2.提示するプランが豊富か?
こちらからの希望料金などを述べたあとに、いくつかのプランや方法を提示してくれたでしょうか?「この料金(この斎場)ならこのプランしかありません」といったような強制的なプラン提案の会社は避けたいところです。
例えばご家族が家族葬を希望しているのに、強く一般葬をすすめる会社等もあります。
3.見積もりの説明が詳しいか?
上記の「値段・料金システム」でも触れましたが、サービス内容やオプション価格のシステムは会社によって大きく変わります。見積もりの内容について質問した時に詳しく明瞭に説明してくれるかどうかは、良い会社を選ぶ大切なポイントです。
不明点を濁したり、こちらが聞くまでは説明しない態度の会社は避けるべきです。
4.安いプランでも対応が変わらないか?
安い方のプランを選んだり、オプションを断った時に冷淡な態度になるような葬儀社も見られます。
5.パンフレットの内容は具体的か?
打合せになってからのパンフレットがイメージ写真ばかりではないでしょうか。料金や移送、式の内容、ご遺体の扱いについて等、具体的な表や説明が記載されている方が良心的と言えます。
6.直営店舗があるか?社歴は?
最近では実店舗を持たない激安価格の葬儀社も増えていますが、顔を合わせての事前の打合せができなかったり、なんらかのトラブルの際にも責任者が出てこずに済んでしまうのは大きなデメリットのひとつです。
できれば実店舗があり、その地域での社歴が長いところの方が信頼度は高いです。
7.葬儀の記録を見せてもらえるか?
実際に執り行った葬儀の記録を見せてもらえれば、大きな参考になりますね。このような対応ができる社は信頼度が上がります。
8.遺品整理や法事など幅広く相談できるか?
通夜葬儀を執り行う頃には、喪主やそのお身内は遺品整理やその次に待つ法事等、様々な慣れない対応に頭を悩ませなくてはなりません。
「葬儀さえ終わればそれでおしまい」という対応ではなく、故人の葬儀の時期に必要となる様々な質問や相談ができる葬儀社を選ぶと安心度が高いですね。
例えば最近では、コンパクトなお葬式プランと共に、提携する遺品整理業者による故人のお部屋の片付けプラン等も提案できる葬儀社も出てきています。故人が遠方であったり、ゴミ屋敷等の問題もある場合には、このような幅広い対応ができる葬儀社を選んでみてはいかがでしょうか。
おわりに
自分に合った葬儀社を選ぶポイントや、良い葬儀社選びのチェックリストをご紹介しましたが、葬儀社選びの参考になりそうでしょうか?
上でも解説したように、自分に合う葬儀社を選ぶ最大のポイントは「葬儀で何を重視するか」をしっかりと決めておくことです。
手厚いサービスなのか?オリジナルな葬儀への対応力か?「どんな葬儀にしたいのか」を明確にしておくことが、納得の行く葬儀社選びの最大の近道と言えるでしょう。