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身内が孤独死したら?やるべき手続き完全リスト

孤独死

核家族化が進む現代では「身内が突然孤独死をする」といった事態は誰にでも起こりうるものとなりました。親や親族等の孤独死の場合、やるべき手続きや注意点は通常の死亡の場合とやや異なります。

突然の事態に慌てふためくことの無いように、身内が孤独死した時にやるべき手続きを知っておきましょう。

1.警察からの連絡が来たらまず準備

孤独死が起きた場合、故人の住む家の不動産管理会社・大家または警察から連絡が来ることになります。不動産管理会社や大家が連絡を取るのは一般的に保証人が最初です。

それでも連絡が取れない場合、故人の一親等の親族(子ども・親等)、二親等の親族(孫等)に連絡が行われます。誰とも連絡が取れない場合だと、三親等程度までは連絡範囲が広げられます。

身元確認の準備をしよう

孤独死が起きた場合、遺族は警察での身元確認に行かなくてはなりません。身元確認は、故人が住んでいた地域の警察署で行われるのが一般的です。

警察等からの連絡が来たら、まずは必要となりそうなものの準備を始めましょう。

準備するもののリスト

戸籍謄本(故人との繋がりが証明できるもの)
住民票
身分証明書(運転免許証、パスポート等)
印鑑
着替え
喪服
数珠
現金
ファイル(書類が多量になるため)
スマホ・携帯電話
移動用スマホのバッテリー(常に連絡が取れるように)

警察許可が出るまでは入室は不可

大家さん等から連絡が来ると「とにかく一度故人の部屋に行かないといけないのでは?」と考える人も多いことでしょう。しかし孤独死の場合、警察が遺体や現場を調査し、事件性が無いと判断されて入室許可が降りるまでは、遺族でも故人の部屋に入室をすることはできません。

また故人の部屋に入り、持ち物等の管理をすることも厳禁です。勝手に入るとそれこそ「警察沙汰」になりかねませんので、十分に注意してください。

なお次のような「見るからに貴重品」とわかるものは、原則として警察側が入室時に回収し、保管・管理をしてくれています。

警察が回収・管理する貴重品類の例 故人の手荷物の現金、財布
故人の身分証明書
家のカギ
車のカギ
通帳・証書類
故人の携帯電話・スマホ 等

不安な場合には警察に確認を取っても構いませんので、無断で入室することだけは避けましょう。

2.葬儀社・清掃業者・遺品整理業者を探す

孤独死の場合、遺族にご遺体と「死体検案書」が引き渡されるのは、ご遺体等の確認の上で死亡原因が特定され、事件性が無いことが判明してからです。そのため最短でも数日間は、ご遺体や故人の貴重品等の引き渡しはありません。
【遺体引き渡しまでの日数】

  • 夏場の場合:一週間~10日前後
  • 冬場の場合:3日~5日前後
  • ご遺体の発見が遅れた場合:1ヶ月前後
  • 何らかの事件性がある場合:2ヶ月~

進められる手続きが無いこの時期に、次の3つの業者探しを始めましょう。

  • 葬儀社:故人の遺体の引取・保管、火葬・葬儀全般を扱う
  • 特殊清掃業者:遺体の腐乱等によって汚れた部屋の清掃を行う
  • 遺品整理業者:故人が残した品物の整理・分類、不用品の処分等

ちなみに火葬は故人が住民登録をしている自治体で行った方が費用が割安です。詳しくは後述しますが「死亡届」等のいくつかの手続きを代行してくれる葬儀社もあります。いずれにしても、葬儀社はできるだけ早く確定させた方が良いです。

また孤独死の場合、ほとんどのケースでは特殊清掃が必要になります。最近では特殊清掃と遺品整理を両方行える業者も登場しています。清掃や遺品整理を外注するメリットについては、後半の項目でも詳しく解説します。

※業者に問い合わせ・申込みをする際には、「孤独死」であることは必ず早めに言っておきましょう。ケースに合わせた対応をして貰えます。

3.死亡届と埋火葬許可証申請を行う

警察による検死等が終了したら、ご遺体や貴重品等の引き渡しが可能となります。警察からの許可連絡が来次第、すみやかに葬儀社に連絡を取り、警察への遺体の引き取り・葬儀の手続きを進めていきましょう。

なお火葬や葬儀を行うにあたっては、次の手続きが必要です。

死亡届【7日間以内】

死亡届とは、故人が亡くなったことを自治体等の公的機関に知らせる重要な手続きです。そのため手続きの期限は、故人が亡くなったことを知ってから7日間以内までと短めに設定されています。警察から提出された死亡検案書を持参して、役所で手続きを行います。

埋火葬許可証申請【火葬手続き前まで】

埋火葬許可証は、埋葬または火葬を行うために必ず必要です。こちらの手続きも役所で行いますので、死亡届とまとめて手続きする方が多いです。

【届け出は葬儀社も代行可能】
死亡届・埋火葬許可証申請は遺族本人ではなく、葬儀社が代行することもできます。

この後の遺体の移送・通夜葬儀の段取りについては、故人の宗教・宗派によっても執り行う内容が異なります。葬儀の内容・通夜ぶるまい・香典返し等については葬儀社とご相談ください。

4.特殊清掃業者に依頼する

葬儀と並行して早めに取り掛かりたいのが、故人のお部屋の特殊清掃です。「特殊清掃」とは、ご遺体の腐敗等による臭いや汚れを取り除く作業を指します。

孤独死の場合、ご家族が居る場合と比べてご遺体の発見が遅れるため、腐敗が進んでしまっているケースが多いです。

【特殊清掃が必要となるご遺体発見日数】
夏場の場合:死亡後4日~5日経過
冬場の場合:死亡後7日~10日経過

ご遺体の腐敗による特殊な臭いや床等へのシミは、一般的な清掃では取り除くことがほとんどできません。また物理的にも精神的にも負担の重い作業です。

管理会社・大家・近隣の方等によるご遺体発見までの日にちが上記を超えている場合には、速やかに特殊清掃業者への依頼をした方が良いでしょう。状況によっては、不動産管理会社または大家から早期の特殊清掃を求められるケースもあります。

いずれにしても、早い段階で特殊清掃業者を探しておいた方が安心です。

5.公共料金の変更・解約手続きをする

故人が契約していた次のような公共料金について、契約人死亡による停止・解約または承継・名義変更等の手続きをしましょう。

公共料金の例 電気
ガス
水道
固定電話回線

問い合わせ・手続き申込み先は各企業の電話お問い合わせ窓口またはホームページの問い合わせ窓口となります。その後、企業によって異なりますが書面・郵送または窓口での手続きへと移ります。

清掃・遺品整理前の解約は要注意

特殊清掃や遺品整理・整理後の簡易清掃等では、電気・ガス・水道等を使用する場合があります。

あまり早く電気等を解約・停止してしまうと、一時復旧を依頼しても復旧まで数時間以上かかってしまうことも。解約日の設定には要注意です。

水道・電気は代行可能な業者も

水道料金や電気料金等については、解約・停止手続きを代行してくれる特殊清掃業者・遺品整理業者もあります。身内の孤独死後の手続きをできるだけ少なくしたい場合には、代行の相談をしてみるのも手です。

6.その他契約の解約手続きを行う

故人が契約していたその他の契約手続きについても、契約者死亡による契約解除の手続きを行っていきます。

その他の契約の例 NHK放送料金
インターネット回線、プロバイダ料金
携帯電話料金
定額制動画サービス(Netflix等)
定額制音楽サービス(iTunes等)
レンタル倉庫
レンタルビデオ・DVD
習い事・お稽古ごと・スクール月謝
クレジットカード

クレカ明細・クレカ加入状況は要チェック

最近ではISP(インターネット・サービス・プロバイダ)の料金や携帯電話料金、クレジットカードの明細も、明細書が郵便で届かずにweb明細(オンライン明細)のみとなっているケースが多々あります。

このような場合、故人の居室にある請求書や明細だけでは契約状態を調べるのが困難です。

クレジットカードの明細書、契約書の類や通帳の引き落としの内容、家計簿の内容等もよく探して、故人の契約状態を丁寧に確認するようにしましょう。

7.保険・年金関連の手続きを行う

健康保険や年金関連の手続きは、死亡後10日~14日以内が手続き期限とされているものが多いです。すみやかに役所に赴いてまとめて手続きを行えるように、必要書類を準備しておきましょう。

健康保険資格喪失届【死亡後14日以内】

提出先 会社の健康保険の場合は勤務先、または健康保険組合窓口
国民健康保険は市区町村の役所窓口
必要書類 健康保険証等

必要書類や手続方法が加入中の保険組合によって違います。故人の所持している保険証をチェックし、手続き方法・必要書類について問い合わせておきましょう。

世帯主の変更手続き【死亡後14日以内】

提出先 世帯の在住する市区町村役所の窓口
必要書類 印鑑、本人確認書類(免許証)等

以前に同居していたご家族が住民票等の転出登録等を行っておらず、孤独死された故人が書類上では複数人数のご家族の世帯主というケースも比較的多く見られます。この場合、新しい世帯主の登録手続きが必要です。

ただし故人の死亡後の世帯が一人世帯となる場合は、世帯主変更手続きは必要ありません。

年金受給停止の手続き【死亡後14日以内~(年金により異なる)】

提出先 社会保険事務所や自治体の国民年金課
または加入中の年金窓口
必要書類 年金手帳・年金証書・年金受給者の死亡届
または除籍謄本等

年金受給の状況については、年金手帳等の他、故人の通帳の入金明細等から確認ができます。受給停止の手続きに必要となる書類や窓口は加入年金により異なりますので、事前に問い合わせておきましょう。

介護保険資格喪失届【死亡後14日以内】

提出先 故人の居住する市区町村福祉課等
必要書類 介護保険証、マイナンバーカード、その他届出人の身元確認書類

必要書類は自治体によって異なります。届け出前に自治体の介護保険窓口に確認しておいた方が安心です。

この他、故人が老人医療受給者であったり、身体障害者受給者の場合にも受給停止の手続きが必要となります。保険証・受給者証が無いか、故人の所持品を丁寧に確認しておきましょう。

8.遺品の整理/遺品整理業者への依頼

遺品整理とは、故人が残したモノ–例えば衣服や食器・書籍・日用品等を「貴重品(遺産)」と「使用可能な物」「不用品」等に仕分け、不要なものを処分する作業のことを言います。

遺品整理はご自分で行うことも可能ですが、次のような場合には遺品整理業者に外注をした方が作業が早くスムーズです。

1)退去日が迫っている場合
故人のお住まいが賃貸物件であった場合、借り主の死亡によって賃貸契約が解除され、契約書に則った退去期限が定められます。退去日を過ぎても遺品が残り退去ができない場合、大家・不動産管理会社から保証人や血縁者に対して家賃を請求されるケースも多いです。

遺品整理業者に外注すれば、故人のお部屋を1日~2日で退出可能な段階にまで片付けることができます。

2)ご遺体発見までに時間がかかった場合
故人の死亡からご遺体発見までに時間が長くかかった場合、お部屋の中にあったご遺品にも独特の臭いが染み付いてしまっていることがあります。

特殊清掃と合わせて、遺品整理も業者に外注をした方がご遺族の心理的負担も軽減できます。

3)所有物が多い部屋/ゴミ屋敷の場合
身内が孤独死した場合の手続きでは、上で解説したように「通帳」「明細書」「契約書」等を探し、故人の契約状況等を把握していく必要があります。

ところが故人の家がモノで溢れていたり、ゴミ屋敷の状態になっていると、なかなか貴重品や必要な書類が見つけ出せないケースも。このような場合はプロに外注をした方が迅速かつ安心です。

4)大型家具・家電が多い場合
ベッドや食器棚等の大型家具が多い場合、粗大ごみとして処分をするにしても、解体や搬出には多大な手間と時間がかかります。言うなれば「引越作業」を自分たちだけで行うようなものです。

遺品整理業者であれば、不要な粗大ごみや大きい家具・家電等の搬出・処分もスピーディーです。またリサイクル業者と提携している遺品整理業者の場合、型式の新しい家電であればリサイクルや買取をしてもらえることもあります。

また近年では、次のような整理作業も行える業者も登場しています。

遺品整理業者のオプションサービス例

物置の解体
庭木の伐採
消化器の処分 等

遺産・財産の管理には要注意!

次のような貴重品・遺産となるものについては、取り扱いに注意しましょう。

遺産となるモノの例

現金
通帳
保険証書
登記簿等
高級自動車
貴金属品
ブランド品等の高級品
骨董品等

貴重品・遺産については、法的な遺産相続手続きが完了してからでないと勝手な分配や売買等ができません。遺産相続者全員との話し合いが終わるまでは、十分に注意して管理するようにしてください。

9.保険・年金の請求手続き

故人との血縁関係等によっては、死亡保険・遺族年金等が請求できる場合もあります。

  • 生命保険(死亡保険金)請求 → 保険会社へ問い合わせ
  • 遺族基礎年金の請求 → 故人が国民年金加入者で、配偶者・子が請求する
  • 遺族厚生年金の請求 → 故人が厚生年金加入者で、配偶者・子が請求する

これらの請求手続きの期限は故人の死亡後2年~5年以内です。他の手続きに比べると期限が比較的緩やかですが、法事や遺品整理等の作業に追われていると手続きを忘れてしまった…というケースも見られます。早めに手続きのスケジュールに組み込んでおくと安心です。

おわりに

身内が孤独死をした時の手続きリストはお役に立ちそうでしょうか?ご家族や親族の方が孤独死をした時には、非常に様々な手続きを行わなくてはなりません。

働きながら、家事をしながらこのような手続きを済ませていくのは精神的にも肉体的にも負担が大きいものです。葬儀や通夜の進行を葬儀社に任せるように、清掃や遺品整理等の外注可能な部分はプロにまかせることが負担を減らす大きなポイントと言えるでしょう。

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