親や親族等が亡くなった後、残された品々を仕分けして片付けるのが「遺品整理」です。どんな場合でも遺品整理は大変なものですが、特に大変と言われるのが一戸建ての場合と言われています。親等の身近な方が亡くなって一戸建ての遺品整理をしなくてはならず、困っている……という人も多いのではないでしょうか。
最近では一戸建ての遺品整理を専門業者に外注する人も増えています。ここでは遺品整理を業者に任せる場合と自分で行う場合のメリット・デメリットを比較してみました。
目次
一戸建ての遺品整理を業者に外注する場合
遺品整理業者とは、家の中の物の片付け・整理と不用品の処分を一挙に行ってくれる専門業者のことです。最近では様々なオプションサービスを用意した遺品整理業者も登場しています。
一戸建ての遺品整理を業者に任せるメリットは?
ゴミ屋敷もOK!最短1日で遺品整理
遺品整理を業者に外注した場合の大きなメリットが、作業にかかる時間の早さです。荷物の量にもよりますが、遺品整理・不用品処分等の業者の作業はおおむね一日で終わることがほとんど。ゴミ屋敷のような大量の荷物がある一戸建ての場合でも、遺品整理を2~3日で終わらせることができます。
- 借家で契約解除による退去日が迫っている
- 家が片付かなくて売却等の話ができない
- 自宅との距離があり遺品整理が進まない
上のようなケースで「遺品整理を早く終わらせたい」という場合には、スムーズに遺品整理を進められる専門業者は特に助かる存在となることでしょう。
遺品整理業者の中には、申込みをした翌日・翌々日には一戸建ての遺品整理に来てくれる「超スピード対応」をしてくれるところも増えてきました。
ゴミに出しにくい物もまとめて処分
最近では一般ごみとしては捨てられないというものも増えてきましたよね。ごみ処理の分別方法や処理の可否は自治体によって異なりますが、次のようなものは「粗大ごみ」として別途手続きをしたり、処理業者に依頼をしなくてはならないことが多いです。
パソコンやTV リサイクルゴミ
土 大量の場合は引取NGの自治体が多い
消化器 自治体では引取NG 等
遺品整理業者におまかせすれば、粗大ごみやリサイクルゴミ等もまとめて処分をすることができます。また中には、消化器の処分等を代行する業者も。一戸建ての遺品整理の手間や時間を少しでも省略したい人には嬉しいポイントです。
仏壇供養や人形供養もできる
処分が難しい品物としては「仏壇」や「位牌」等も挙げられますね。また故人やご家族が飾っていた人形やぬいぐるみ、その他のご愛用品等を捨てにくいと感じる方も多いはずです。
お寺や僧侶と提携し、仏壇供養・物品供養を代行してくれる業者を選べば、このような「処分が難しい品々」もスムーズに処理を進められます。
買取やリサイクルもOK
遺品整理業者の中には、不用品をゴミとして処分するだけでなく、家具・家電・貴金属等を買い取ったり、リサイクルしてくれる業者もあります。
「故人が愛用していたので捨ててしまうのは忍びない」と思いつつ、誰も使わないので放置されたままのモノが一戸建ての中にたくさんある、というケースも多いのではないでしょうか。
買取・リサイクルをしてくれる遺品整理業者であれば、ニーズのある品物は新たな場所でリユースされます。「捨てるだけ」に抵抗があるという方にもピッタリです。
物置解体や庭木伐採を頼める?
一戸建ての遺品整理の場合、家の中だけでなく屋外も整理をしたい部分がある…というケースは少なくありません。
例えば物置も処分したい、庭木がボウボウなのをなんとかしたいといった具合ですね。すべての業者ではありませんが、物置解体や庭木伐採をオプションサービスとしている業者も登場しています。
一戸建ての家の中に加えて屋外の遺品整理もしたい!という場合は、このようなオプションサービスがある業者を選ぶと良いでしょう。
特殊清掃とまとめて依頼できることも
孤独死や事故死等でご遺体の発見が遅れた場合、腐敗による臭いや汚れは一般的な清掃ではなかなか落ちません。このような場合には「特殊清掃」を行う必要があります。
最近では、特殊清掃と遺品整理をまとめて依頼できる専門業者も登場するようになりました。
一戸建ての遺品整理を業者に依頼するデメリットは?
料金がかかる
当然のことではありますが、遺品整理を業者に外注すれば一定の料金が発生します。「遺品整理に一切コストをかけたくない」という人には、業者への外注は不向きと言えるでしょう。
悪徳業者に注意
遺品整理の業者の中には、悪質な業者も混じっているので注意が必要です。
無料に近い激安料金を謳って後から非常に高い処理料金をふっかけて来られた…といったトラブルも見られています。
一戸建ての遺品整理の場合、作業には2名以上の人員が必要ですし、1日~2日は作業時間もかかります。無料で成り立つ事業ではありません。
「無料」「ワンコイン」等のあまりにも安い価格をキャッチコピーにしていたり、電話や訪問等でセールスをしてくる遺品整理業者には要注意です。
一戸建ての遺品整理を自分で行う場合
次に、一戸建ての遺品整理を家族や親族等の自分たちだけで行う場合のメリット・デメリットについて見ていきます。
一戸建ての遺品整理は自分でやるとメリットある?
マイペースに進められる
一戸建ての遺品整理を自分で行う大きな魅力は、コツコツとマイペースに作業を進められる点です。「故人が残した品物の行き先や処分方法について、ひとつひとつ納得しながら進めていきたい」という場合には、自己処理をするのも良いでしょう。
例えば一戸建ての中のひとつのお部屋の遺品整理等であれば、週末等に少しずつ作業を進めることもできますね。
コストはホントに安い?
遺品整理を自分で行えば、コストはゼロ!と考える方も多いはず。確かに家族だけで一戸建ての遺品整理をすれば人件費はゼロです。ただし次のような実費は発生します。
粗大ごみ・特殊なごみを出す時の処理料金(自治体により異なる)
仏壇等を供養してもらう場合の供養料
また、搬出等のためにご友人や親族等に作業を依頼する場合ですと、お礼金や食事等を用意する必要も出てきます。作業の回数によっては、かえってコストが高く付いてしまう可能性も否定できません。
一戸建ての遺品整理を自分で行うとデメリットも?
遺品の分配トラブルになりやすい
親族で遺品整理の作業を行うと起こりやすいのが、作業をしながら遺品の分配問題になってしまうというケースです。
例えば、故人のお使いになっていた宝石等を見つけたときに「見つけた人が自分のものにしようとする」といったトラブルは珍しくありません。
通帳
証書類
新しい家電
パソコン、スマホ等のデバイス
着物
貴金属・宝石・アクセサリー類
ブランド品
金
骨董品
コレクション品
換金しやすい品物、価値の高い品物の多い一戸建ての場合、自分達の遺品整理はトラブルの可能性は高くなりやすいという点は考慮しておいた方が良いでしょう。
解体・搬出の手間が大変
一戸建ての場合、エレベーターがあるお宅は稀です。二階・三階にあるお部屋の大きな家具や家電は解体してから運ぶか、階段(または窓)から搬出をするしかありません。一戸建ての遺品整理とは、いわば大掛かりな引越をするようなものなのです。
引越や遺品整理の専門的なノウハウや道具を持たない人だけで行う解体・搬出の作業は時間も労力もかかります。ご高齢の方が多いご家庭や女性だけのご家庭等の場合、作業事態が厳しいケースも多いでしょう。
ゴミ出し処理が進めにくい
一戸建ての遺品整理を自分で行う場合、大変なのが不用品をゴミとして捨てる時の処理の手間です。
- 粗大ごみ 自治体に申込み、回収指定日に回収場所に出す
- リサイクルゴミ 販売店または事業者に問い合わせる
- 楽器、バイク等 自治体に相談するか引取業者に依頼
- 可燃・不燃・資源ごみ 大量になる場合には事前に清掃事務所に連絡
特に注意したいのが、通常であれば回収日に置いておけば普通に捨てられる可燃ごみや不燃ごみです。あまりにも大量のゴミを一気に出す場合、回収車に積み込みきれないため、事前の清掃業者への連絡(自治体によっては手数料)が必要になります。原則として「ゴミ袋5袋以上」の場合は事前連絡が必要です。
マンションと違って一戸建ての場合、どのお宅が出したゴミなのかは特定されやすいもの。連絡無しで可燃ごみや不燃ごみを大量に出し、ご近所とのトラブルとなるケースも見られます。
遺品整理の専門業者に外注する場合とは違い「不用品を一日で全部捨ててスッキリ」とは自己処理ではほぼできないと考えた方が良いでしょう。
物理的・精神的な負担が大きい
上で解説をしたように、一戸建ての遺品整理を行うには時間も手間もかかります。遺品整理業者に外注をする時のように、一日ですべての作業を終えるというわけにはいきません。
働いている方の場合、週末や連休、年末年始等の休暇の多くを遺品整理に充てないと、一戸建てが片付かないということになってしまいます。
- 片付ける一戸建てが自宅から遠い
- 仕事が忙しい
- 子育て中である
- 家に男手が無い、少ない 等
特に上のようなご家庭の場合ですと、遺品整理の片付け担当になった方への物理的な負担は大きいです。
また亡くなった方の家に居ることや荷物に囲まれることで「精神的に辛さを感じる」という方も少なくありません。
「空き家」がトラブルの原因に
故人が一戸建てに独居であって、亡くなった後には家に誰も住んでいない--このような場合、遺品整理をご遺族が自分達だけで進めるのは意外と大変なもの。そして問題になるのが「空き家」によるトラブルです。
人が住まない家は、驚くほど一気に荒れた雰囲気になり、「空き家だ」ということが外から見てもわかりやすいもの。特に遺品整理をしておらず家具類等がそのままの家は、犯罪の温床になりやすい傾向があります。
不審者に住み着かれる
未成年者等の溜まり場になる
不法投棄の場にされる
放火される 等
資産価値が下がる
故人が住まなくなってからは一戸建てに誰も住んでいない、現在は空き家という家でも痛みが少ない家であれば次のような利用価値や資産価値が考えられます。
- 家族・親族の誰かが入居する
- 住居用賃貸物件として貸し出す
- 事業用の物件として貸し出す
- 中古家屋として販売 等
近年では住居用であった一戸建てを事業用として貸し出す方式も人気となっています。
しかし遺品整理の慣れない搬出作業等で家にキズ等がつけば、それだけ資産価値は下がり賃料等も下げなければならなくなります。遺品整理をなかなか進められず、家が荒れて腐食してしまえば、貸し出し等も行うこともできません。
自分に合う一戸建ての遺品整理を
一戸建ての遺品整理については、上でも解説したとおり、自分で行う場合と遺品整理業者に外注する場合のそれぞれのメリット・デメリットがあります。一概に「遺品整理にはどちらが良い」と言えるものではありません。
家族環境や一戸建ての状態、ライフスタイル--様々な点を考慮して、自分が納得のいく遺品整理をすることが一番です。自分に合う方法を考える目安としては、次のような点を考慮に入れると良いのではないでしょうか。
遺品整理の期限
退去日が迫っている
空き家トラブルが心配
長く遺品整理が進んでいない
退去日等は無い
家族が既に家に住んでいる
マイペースに進めていきたい
人員
高齢者が多い家庭
女性が多い
男性が定期的に作業できない
男性が2名以上、常時参加できる
週1回程度の作業に必ず人員を集められる
階段での荷物移動は無い
整理する遺品の量
家屋の中の家具や家電が多い
不用品がほとんど
親族間でのトラブルの可能性がある
一戸建てだが家具・家電がほとんど無い
これから自分で使う予定のものがほとんど
相続・贈与等のトラブルの心配はゼロ
おわりに
一戸建ての遺品整理では「そのうち遺品を片付けよう」と先延ばしにしているうちに、親族間でのトラブルや遺品・家屋等の資産価値の低下等が起きるといったケースも多く見られています。自分たちで遺品整理を行う場合にせよ、遺品整理の専門業者に外注する場合にせよ、できるだけ早く作業に取り掛かることが大切です。