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遺品を寄付・寄贈するには?遺品整理の注意点を徹底解説

遺品(書籍)の寄付

親や親族が残した遺品を整理する時、「まだ使える遺品」が出てくることは多いものです。自分は使う予定が無いけれど、使える遺品を捨ててしまうのはしのびない…そんな時には遺品を寄付・寄贈してみるのはいかがでしょうか。

遺品の種類によっては、とても喜ばれる寄付品・寄贈品となることもあります。ただ遺品の寄付・寄贈はリサイクルショップ等への持ち込みとは事情が異なりますので、いくつか注意しておく点があることも知っておきましょう。

ここでは遺品の寄付・寄贈先や寄贈可能な遺品の例、また遺品を寄付する際に注意するポイントを詳しく解説していきます。

遺品の寄付・寄贈とは?

衣類遺品の寄付
寄付・寄贈とは、施設や団体等に対して品物を譲り渡すことを意味する言葉です。無償の行為であるため、リサイクルショップ等とは異なり品物と引き換えに現金等を受取るわけではありません。

寄付と寄贈の違い

遺品を施設に渡す時には寄付(きふ)または寄贈(きぞう)という言葉が使われますが、これは譲り渡す施設の種類によって使い分けられることが多いです。

寄付(寄附)とは

もともとの日本語としては、社寺等に対して品物を贈る行為を意味します。例えば神社や教会等に対して品物を収めれば「寄附」というわけですね。最近の税制上等の考えでは、公共の団体・公共事業に対して無償で金品・物品を贈ることが「寄付」とされています。

寄贈とは

もともとの日本語としては、贈る先にかかわらず「物品を贈り与える」ことを意味します。ですから本来は、寄付も寄贈に含まれるわけです。しかし法律上では教育機関(学校や美術館等)や医療機関に対して遺品等の物品を渡す場合を「寄贈」として定めています。

寄付・寄贈先と寄附できる遺品の種類

遺品の寄贈先
「遺品を寄附・寄贈する」と言っても、どんなものを寄付できるのか、どこに連絡をすれば良いのかがピンと来ない方も多いことでしょう。遺品の寄付・寄贈先となる施設や団体の例、また寄贈できる遺品の種類の例を挙げてみました。

図書館

寄付・寄贈できる遺品の例 書籍
マンガ 等

図書館施設によって、寄付・寄贈品の取り扱いは異なります。寄贈された図書を蔵書としてリスト化する場合もあれば、図書館の玄関先等で「ご自由にどうぞ」というスタイルで書籍・マンガの無料進呈を行うケースも見られます。

基本的にどの図書館でも、寄贈した図書の使用用途等については寄贈後に確認はできません。また図書館によっては、一切の寄贈を受け付けない場合もあります。

学校(小学校・中学校・高校等)

寄付・寄贈できる遺品の例 書籍
楽器
運動用具
文具
絵画 等

生徒の年齢に応じた書籍であれば、学校の図書室で書籍を引き受けしてくれる場合もあります。またピアノや金管楽器等の楽器類を音楽室で引取するケースも見られます。

また学校によっては、バットやミット・ボール等の運動用具の寄贈を受け付けるところもあるようです。この他、地域振興の一環として、貴重な絵画・書画等の芸術作品の贈呈を受け付けるケースもあります。

児童養護施設

児童養護施設とは、生まれた家庭で生活することが難しいと判断された児童が入所する公共施設のことです。乳児(赤ちゃん)以外の子どもから18歳まで(施設によっては20歳まで)の未成年の子ども達が暮らしています。この他、赤ちゃんたちが暮らす施設である「乳児院」等もあります。

寄付・寄贈できる遺品の例 書籍(子ども向けのもの)
マンガ
参考書
玩具
タオル(新品)
寝具類
衣類(サイズが子ども向けのもの)
運動用具
自転車
家電製品(掃除機・炊飯器・ドライヤー等の生活用具)
食品(製造者・消費期限等が明瞭なもの)

児童養護施設というと文具等の学用品をイメージする方が多いですが、学用品系は予算内で購入ができるため、あまり必要としない施設も。反対にドライヤーや掃除機、炊飯器等の家電製品は施設内での使用者数が多い分消耗が激しく、必要としている児童養護施設が多い傾向が見られます。

児童養護施設では掃除等を子どもたちが自分たちで行うため、特に掃除機等の数がある方が良いようです。

なお衣類や書籍を寄付する場合には、それらが施設の子ども達の年齢・性別や嗜好に合ったものかどうかを確認することも大切です。

高齢者福祉施設

高齢者福祉施設とは、特別養護老人ホームやデイケアセンター、グループホーム等を指す言葉です。

寄付・寄贈できる遺品の例 バスタオル(新品)
文具(色鉛筆、絵の具等)
使い捨てゴム手袋
絆創膏等の消耗品(未開封品)
加湿器
空気清浄機
ドライヤー
介助型車椅子
楽器(ピアノ等)

高齢者福祉施設では、施設によって要介護度が異なります。活発に活動ができる高齢者が多い施設では、レクリエーションに使用する文具類や運動用具、楽器等の寄付が喜ばれるケースが多いです。

反対にご自身での移動が難しいお年寄りが多い施設では、車椅子等の寄付が求められる場合もあります。また加湿器や空気清浄機等、快適な空間を維持するための家電類を引き受ける施設も比較的多く見られます。

障害者福祉施設

障害者福祉施設とは、障害者生活支援センター、グループホーム、福祉作業所等の施設を意味します。

寄付・寄贈できる遺品の例 バスタオル・タオル(新品)
寝具
日用雑貨(未使用品)
車椅子
介助用品
玩具(児童の多い施設の場合)
衣類

施設によっては、トイレットペーパーや歯磨き・石けん・生理用品等の日用品・消耗品の寄付・寄贈を受け付けるケースも見られます。ただしこれらの製品についてはすべて未開封品であることが必須です。

美術館・博物館

貴重な美術品・骨董品の場合、遺品を「遺産」として受け継ぐと高額な相続税が発生してしまうことも。その点、美術品・骨董品を公営の美術館・博物館に寄付すれば相続税がかからないというメリットもあります。

寄付・寄贈できる遺品の例 絵画
書画
造形作品(塑像・銅像等)
骨董品 等

なお、原則として寄付・寄贈の前に美術品・骨董品の「鑑定依頼」はすることができません。すでに鑑定士等による美術価値(骨董価値)が確定しているものが物品寄付の対象となります。

美術館・博物館は施設によって運営規模が大きく異なります、また物品寄付・寄贈に対する指針も施設によって違いますので、ていねいに施設側の対応可否を確認していく必要があります。

NPO・NGO

NPOとは、社会的な問題に取り組む非営利の団体のこと。またNGOとは政府・政府間の協定等に頼らずに作られた民間団体であることを意味します。

ただ日本では一般的に「地域社会・子育て問題」等の国内の問題に取り組む団体を「NPO」、国際的な貧困問題や紛争問題等に取り組む団体を「NGO」と呼ぶ習慣が根付いています。

寄付・寄贈できる遺品の例 タオル
衣類
食品(未開封・賞味期限前のもの)
教育関連グッズ 等

NPO・NGOでは、その団体によって活動内容が大きく異なります。例えば「地域猫の保護活動」を行っている団体であれば、未開封のキャットフードや猫砂等も寄付ができることでしょう。

また海外の子どもの貧困問題に取り組むNGOでは、子ども向けの衣類やシール等の文具類の寄付を求めているケースもあります。各NPO・NGOのサイト等をみて活動内容をチェックし、必要とされるものを考えてみましょう。

遺品の寄付・寄贈の手続きの進め方

「遺品を寄付しよう」と思い立ったからと言って、いきなり施設に遺品を送りつけるのは絶対にいけません。遺品を寄付・寄贈するには、次のような手続きを踏む必要があります。

1.遺品の種類・数量を確認する

遺品の寄付先・寄贈先に問い合わせをする前に、まずはしっかりと遺品整理を行いましょう。次のような点を問い合わせ時にスムーズに伝えられるように、リスト化しておくことが大切です。

【チェックリスト】
どんな遺品があるのか?
数はどのくらいか?
家電等の場合、動作確認済か?
家電なら型式・製品番号は?
衣類のサイズは? 等

2.施設に問い合わせる

遺品を引き取ってくれそうな施設を見つけたら、電話またはメールで問い合わせをしましょう。

【問い合わせ時の確認事項】
担当者の名前
寄贈品の種類・数量
送付や運搬の方法
送付日・運搬で持ち込む日時 等

遺品の種類によっては、遺品を写真撮影してデータを施設に送り、内容を確認してもらうこともあります。何度か連絡を往復することもあるので、できれば相手先施設の担当者をしっかり決めてもらった方が良いでしょう。

3.遺品を洗濯・洗浄する

中古品の遺品を寄付・寄贈する場合には、かならず事前に洗濯や洗浄をして、きれいな状態にしておきましょう。例えば中古衣類の場合、長年の保管によるホコリっぽいニオイが気になる場合もあります。

寄付された側が箱を開けた時に「汚い、臭い」と不快に思うことが無いように、徹底して清潔な状態にしておくことが大切です。また衣料品の場合にはアイロン仕上げなどもしておいた方が良いでしょう。

ただし高額絵画・骨董品や希少価値のあるものについては、素人判断で修復・修繕作業をせず、専門家に対応を任せた方が無難です。

4.遺品を梱包する

寄贈する遺品の種類ごとに梱包をします。例えば衣料品の数が多い場合は、「男性物/女性物」「夏物/冬物」といったように種類別に仕分けをして、それぞれ別の段ボール箱にしまうようにしましょう。

複数の種類の遺品をひとつの段ボール箱にまとめてしまうと、寄贈された側の「仕分け」の手間が増えてしまいます。施設側の負担を増やさないことが大切です。

5.遺品を施設に送付・運搬する

リサイクルショップや遺品整理業者とは異なり、寄付・寄贈の場合には「施設側が自宅まで引き取りに来る」ということは原則ありません。

遺品の準備ができたら、施設・団体に向けて遺品を宅配便等で送付するか、自分たちで運搬します。送付日や運搬日は、施設側・団体側に確認を取って、都合の良い日を選ぶようにしましょう。

遺品を寄付・寄贈する時の注意点

遺品を寄付・寄贈する場合には、次の点に注意をすることが大切です。

無断で遺品を送らない

上でも触れましたが、絶対にNGなのは「勝手に遺品を施設や団体に送りつける」という行為です。

どのような物品を必要としているのかは、施設によっても違います。例えば「ランドセルはもう全員が持っていて必要が無い」という児童保護施設もあるでしょうし、「衣料品は十分にいただいているから、これ以上は中古の衣類を贈られても保管できない」という施設もあることでしょう。

「好意だから」といって施設側が不要とする遺品を送りつけても、施設側はその処分方法に困るばかり。これでは、遺品の処分を誰かに押し付けているのと同じです。

まずは「遺品を必要としてくれている団体・施設があるか」「施設側が希望する物品とこちらの遺品がマッチしているか」という点をよく確認するようにしましょう。

利用者層をよく確認する

同じ「老人福祉施設」でも、ほとんど寝たきりの高齢者が多い施設もあれば、元気にレクリエーションを楽しむグループホームもあります。それぞの施設で必要とするものは違いますよね。

また例えば小学校の図書館に、中学生以上が読むような書籍を大量に寄贈しても読まれることは無いでしょう。

寄贈する施設に居るのがどんな年齢層のどんな人達なのかをよく確認して、喜ばれるものを贈ることが大切です。

汚れたもの・壊れているものはNG

次のような遺品を寄付・寄贈してはいけません。

ほつれている衣類
シミがある衣類や寝具
ボタンが取れている衣類
割れたり壊れたりしている家財道具
機能しない部分がある家電 等

「直せば着られる」「シミを取れば着られる」という衣類であれば、修繕作業を相手に押し付けず、寄付する側が自費で行うのがルールです。

また家電やパソコン・スマホ等の機器類は、きちんと使えるかどうかの動作確認を徹底しましょう。

壊れた家電を贈られた場合、施設側・団体側はその処分の代金に頭を痛めることになってしまいます。

寄付・寄贈が難しい時は遺品整理業者に相談を

リサイクルイズミ遺品整理チーム
遺品の寄付・寄贈の注意点を読んで、「寄付や寄贈をするのは意外と難しいものだな」と感じた人も居るかもしれませんね。大量の遺品の整理や処分に困ってしまっている場合には、専門の遺品整理業者に相談をするのも手です。

リサイクルショップと提携している遺品整理業者であれば、家電等の「まだ使えるもの」を上手にピックアップして、リユース先を探してもらえます。

遺品整理業者であれば「お部屋丸ごと」「家丸ごと」等の単位で依頼ができるので、ひとつひとつの遺品の送り先を考える必要もありません。

「より手軽に遺品整理を済ませたい」と思った時には、専門家に頼るという方法を検討してみても良いでしょう。

おわりに

近年、災害時の被災者に対する寄付の場でも「不要な物品の送りつけ」「汚れた衣類の送りつけ」等によるトラブルが増えていることはご存知の方も多いことでしょう。遺品の寄付・寄贈においても同じことが言えます。

「無償だから」「無料だから」といって、何を寄付しても良いというわけではありません。きちんとルールを守って必要な人に遺品を送り届けてこそ、遺品の正しい活躍の場が見つかります。まずは遺品の種類や数等をきちんとリストアップするところから始めてみましょう。

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