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遺品整理の時期・タイミングを決める5つのポイント

遺品整理の時期・タイミング

故人の遺品を片付ける「遺品整理」。引越しや片付けとは違うものですから「いつから遺品整理を始めるべき?」「いつ頃までには終わらせなくてはいけない?」と、遺品整理の時期やタイミングに迷う人も多いことでしょう。

ここでは法要である「四十九日」や「相続税問題」、そして大切な方を無くしたご家族のお気持ちに寄り添うこと等を含め、様々な視点から遺品整理のベストな時期・タイミングについて解説していきます。

「賃貸物件」では遺品整理を早めに

賃貸アパート
遺品整理の時期について、まず物理的に終了期限がある程度決まってしまうケースがあります。故人が独居で、お住いになっていたのが賃貸物件(アパートや賃貸マンション等)であった場合です。

賃貸物件の最終的な明け渡し期限は?

賃貸物件では入居者が死亡した場合、賃貸契約内容に従った「退去日」までには部屋を明け渡すことが決められています。以下の退去日までには必ず部屋を片付けなくてはなりません。

賃貸物件の退去日期限例 公営住宅:3ヶ月~4ヶ月
民間賃貸住宅:4ヶ月~6ヶ月

賃貸物件の場合、最長でも半年が経過するまでには遺品整理を行う必要があります。

賃貸物件では家賃が発生し続ける

賃貸契約者が死亡した場合でも、その賃貸借契約は相続人に承継されます。つまり故人が亡くなった後も、賃貸契約を解約して部屋を明け渡さない限り、相続人(子や孫等)が部屋の家賃を払い続けなくてはならないというわけです。

例えば家賃が10万円の場合、故人の死亡後に2~3ヶ月も部屋を放置していれば、誰も住まない部屋に20万・30万といった大金を払わなくてはなりません。

新たな家賃を発生させたくない場合は、故人の死亡後すみやかに住居の管理会社に連絡しましょう。家賃の支払い状況・賃貸契約内容によって、家賃を払わなくて済む場合の退去期限は変わってきます。

賃貸物件の家賃発生の前の退去例 故人死亡後2週間
故人死亡月の月末まで 等

この場合、遺品整理の時期は葬儀後すぐに行うか、死亡した当月中といった比較的早いタイミングになります。

早期の明け渡しを求められる場合

状況によっては、故人死亡後できるだけ早期の部屋の明け渡しを管理会社側から求められる場合があります。

【例】 家賃の滞納があった場合
事故物件となる場合(自死・孤独死等)
ゴミ屋敷の状態になっていた場合

この場合には即日・翌日での清掃や退去が必要となるため、遺品整理もすぐに行なわなくてはなりません。

「相続税」の締切にも注意

相続税の申告期限
では賃貸物件でなければ特に遺品整理の期限は無いのか?というと、そういうわけでもありません。故人の資産状況によっては「相続税」の問題も視野に入れる必要があるのです。

相続税の申告期限は10ヶ月

相続税の申告期限は「被相続人(故人)が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。申告期限を過ぎてしまうと、次のようなデメリットがあります。

申告期限を過ぎるデメリット

「小規模宅地等の特例」「農地の納税猶予」等の特例が受けられない
納税遅れに対する追徴課税(延滞税)を受ける(年2.8%~9.2%)
申告書提出遅れに対する追徴課税を受ける(過少申告加算税)

つまり10ヶ月以内には申告手続きを済ませておかないと、相続人は余計に税金を払うことになってしまうわけです。

遺品整理は資産の把握に必要

相続税の対象となる相続財産には次のようなものがあります。

・銀行口座(通帳)
・現金
・不動産(家屋、土地の登記簿・権利証)
・有価証券(株券・公社債等)
・ゴルフ会員権
・電話加入権
・貴金属
・書画骨董
・自動車 等

故人がすべての資産をリスト化でもしてくれていれば別ですが、一般的にはなかなかすべての財産を把握しきれているケースはありません。遺品整理によって資産に関連する書類等を見つけ出し、すべての遺産の状況を確認する必要があります。

相続の協議・相続手続きの時間も計算

遺産相続人が複数居り、なおかつ故人が遺言を残さなかった場合、各相続人が話し合って遺産分割をすることになります。

また遺産分割の協議後には、各自が口座の資金・権利等を承継・相続する正式な手続きも取らなくてはなりません。状況によっては、税理士に依頼をするケースも出てくるでしょう。

1)遺品整理で資産状況を確認
2)遺産分割の協議
3)各財産の相続手続き
4)相続税申告手続き

ここまでを故人死亡の10ヶ月以内で済ませないとならないのです。自然と、最初の「遺品整理」をスタートさせる時期を早める必要が出てきます。

法要「四十九日」を目安にする?

法要「四十九日」
葬儀後の法要である「初七日」や「四十九日」を遺品整理の時期の目安とするという方はとても多くいらっしゃいます。

しかし反対に「四十九日の前に遺品整理をするのは良くないのでは?」等、法要前を遺品整理の時期とすることを悩む方も少なくないようです。実際のところ、法要前の遺品整理に問題はあるのでしょうか。

初七日・四十九日前の遺品整理に問題無し

日本における一般的な仏教の考え方では、初七日・四十九日の前の遺品整理にはまったく問題がありません。そもそも初七日・四十九日とは、故人の来世への旅の途中過程なのです。

初七日・四十九日とは
 
初七日:命日も含めて7日後。故人が「向こう側」へと渡る三途の川のほとりに到着をする日です。川の流れの激しいところ・緩やかなところのいずれを渡るかが決まる日なので、大切な節目の日とされています。
 
四十九日:「満中陰(まんちゅういん)」とも呼ばれます。初七日より七日ごとに受けたお裁きによって、最終的な来世の行き先が決まる日です。遺された家族たちは故人が極楽浄土に行けるように願って、親族たちと法要を行います。

つまり初七日は「この世を離れる旅立ちの日」であり、四十九日は「さらにその先へと旅立つ日」であるとも言えます。初七日や四十九日に合わせて家族がこの世に遺したものを片付けてあげることは、故人が気持ちよく次の世界へと旅立つためのお手伝いともなることでしょう。

親族への形見分けにも良いタイミング

初七日は骨上げから2~3日後に行うもの。しかし近年では親戚が度々集まることも大変ですので、葬儀の遺骨迎えの法要の後に初七日を行い、簡略化するケースが珍しくありません(繰上初七日・繰込初七日)。

そのため親族が葬儀後に一同に会するのは、初七日ではなく次の法要である「四十九日」ということになります。四十九日の前に遺品整理を済ませておけば、ご親族が集まった場でスムーズに「形見分け」ができるという利点があるのです。

なお「形見分け」については、宗教上の時期の決まりは特にありません。葬儀当日といった慌ただしい日を避けて行えるという、昔からの「合理性」を考えた日取りであると言えるでしょう。もちろんご家族が希望されない場合には、無理に形見分けをしなくても大丈夫です。

遺品整理を後回しにするデメリット

遺品整理の時期を後回しにした場合、前述したような相続税等の問題だけでなく、次のようなデメリットも増えてしまいます。

故人が契約した有料サービスが続行される

故人が契約していた様々なサービスは、死亡による利用停止や解約をしない限り請求が続けられてしまいます。

有料契約サービスの一例 amazonプライム等の月額サービス
有料の電子版新聞
定額制のレンタルサービス
定額課金制のアプリやゲーム
ジムや習い事の月謝の引き落とし 等

特に近年のインターネット上の有料サービスでは、支払いがクレジットカード払い(毎月の自動引落)となっていることが多いです。故人が所有するクレジットカードをすべて発見して利用停止(解約)の手続きを取らないと、使われていないサービスに対して延々とカード請求が発生してしまいます。

もちろん「契約者死亡による解除手続き」を行えば、後から適切な処理をしてくれる企業もあることでしょう。しかし企業やサービスによっては、契約者死亡時の対処が良心的ではないケースも見られます。

余分な請求を発生させないためにも、故人が契約していたサービス内容は早めに把握し、早急に契約した方が安心です。そのためにも、遺品整理ですべてのクレジットカードや請求書・契約書等を発見しておく必要があります。

親族による盗難や売却等のトラブル

「遺品を勝手に一部の親族に処分されてしまった」「思い出を持っていかれてしまった」というトラブルは、実は意外と多く起きています。特に次のような動産は持ち運びもしやすいため、トラブルの元になりやすいです。

トラブルになりやすい動産の例 指輪・ネックレス等の貴金属類
デジカメ等の電子機器類
骨董品等のコレクション
着物 等

一度売却されてしまったものは、最悪の場合、手元に戻らないことも。もちろん処分された遺品に金銭的な価値があれば、後から犯人に損害賠償も請求できますし、慰謝料を請求することもできます。しかしそのような対応には手間もかかりますし、何より精神的な負担も大きいものです。

遺品整理を後回しにするほど、一部の人間による売却や勝手な処分といったトラブルの可能性は高くなります。反対に遺品整理の時期を早めれば、それだけ貴重なものの把握もできますし、管理も容易になりトラブル防止に繋がります。

余分なトラブルを減らすという意味でも、遺品整理の時期を早めにすることは大切なのです。

空き家化による火災や不法投棄等の犯罪トラブル

故人が独居であった場合に問題となるのが、故人のご自宅が「空き家」「空き室」となってしまうことです。

人が住まず夜になっても電気がつかない家は、犯罪者・不審者の絶好のターゲットです。不法侵入の場とされて住み着かれたり、家具家電等の不法投棄をされるとケースも見られます。

また最悪のパターンが、不法侵入者のタバコ等による発火・放火による「火災」です。隣家にまで火災の被害が及んだ場合、家屋の相続人にその賠償責任が求められる可能性も考えられます。

空き家被害といったリスクを減らす上でも「空き家」「空き室」は解体や売却といった対処を早めに行うのが理想的です。そのためにも、まずは家の中身である「遺品整理」を早急に行うことが求められます。

家族の感情や多忙さにも配慮を

上でご紹介したように、遺品整理の時期・タイミングは「できるだけ早く行った方が良い」というのが基本的な考え方です。しかし合理的な判断だけで遺品整理の時期を決めるのも考えもの。故人を偲ぶご家族のお気持ちを汲み取ることも大切です。

葬儀直後の家族は慌ただしい

通夜・葬儀を終えたあと、故人の身近な家族は次のような様々な手続きを行う必要があります。

【死亡直後すみやかに行う手続き】

・電気・ガス・水道等、ライフラインの解約または名義変更
・インターネットや新聞の解約または名義変更
・携帯電話契約の解約
・クレジットカードの解約

【死亡7日~14日以内に行う手続き】

・健康保険資格喪失手続き
・世帯主変更手続き
・年金受給停止手続き
・介護保険資格提出届の提出 等

事務手続きはひとつひとつの企業や役所の窓口で行う必要がありますし、手続きには死亡届等の多種の証明書・書類も用意しなくてはなりません。

家族・親族を初めて亡くし、慣れない手続きに混乱している方も多いことでしょう。それでも届出・手続きは何よりも優先的に行わなくてはならないもの。葬儀直後の時期に家族が率先して遺品整理をしたくても、現実的に難しいケースが多々あります。

気持ちの整理がつかないことも

大切なご親族をうしなった直後は、まだなかなか気持ちの整理がつかない時期です。身近な家族を亡くしたことで、体調を崩してしまう方も少なくありません。

ご親族の中には「葬儀後すぐに遺品を片付けるなんて…」と、心情的に遺品整理に納得出来ない方がいらっしゃることも考えられます。

このような場合に、無理に早期に遺品整理を進めることはありません。数週間の時間を置き、まずはお気持ちを落ち着けることが大切です。

例えば前述した四十九日は「喪明けの日」でもあります。故人が亡くなってから一ヶ月程度はゆっくりと休み身と心を落ち着け、四十九日の法要を終えてから、改めて遺品整理に取り組むというのも良いでしょう。

プロの遺品整理業者に依頼するのも手

「まだ冷静に片付けられない」「遺品を片付けるのが辛い」という状態でも、前述した賃貸物件の退去日等の物理的な期限が迫ってきてしまうことがあります。

このような時には、プロの遺品整理業者に丸投げをしてしまうのも手です。遺品整理業者の中には、遺品の片付け・処分だけでなく、次のような作業も代行してくれるところもあります。

遺品整理業者の代行業務例 粗大ごみやリサイクルの手続き
廃車手続き
特殊清掃
仏壇や思い出の品の供養 等

業者に任せれば、基本的に一日で遺品整理は完了します。「早く遺品整理を終わらせなくては」と焦る気持ちがなくなることで、ご親族の精神的な負担も軽くなるのではないでしょうか。

まとめ

遺品整理の時期とタイミングについて様々な観点から見ていきましたが、おおまかには以下のようにまとめられます。

遺品整理の時期 賃貸物件の場合:故人が亡くなってから2週間~当月末まで
事故・孤独死等の突然の死亡の場合:死亡後翌日等の最短
それ以外の場合:四十九日前後が理想的

もちろんこれはあくまでも理想的なタイミングのひとつであり「必ずしもこの時期に合わせるべき」という決まりやルールではありません。ただ次のような理由で遺品整理が進められていない、早く遺品整理をしたい…という時には、遺品整理業者への依頼を検討してみることをおすすめします。

遺品整理業者に依頼する例 仕事で忙しく遺品整理が進まない
家が遠くて遺品整理に行けない
大きな家具や荷物を運ぶのが辛い
即時での退去を迫られている
故人の品を手に取るのが辛い
何もする気がおきない

遺品整理業者の中には、鍵さえあればご家族の立ち合い無しでもOKという業者も登場しています。また反対に、スタッフと一緒にご家族も思い出の品等の片付けに参加できる業者もあります。ご希望のスタイルに合う専門家にまかせてみてはいかがでしょうか。

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