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相続税や家賃発生…遺品整理の「4つの期限」とは?

相続期限

親や親族が亡くなった後、行うべき大切な作業のひとつが「遺品整理」ですね。故人が残した貴重品や日用品・家具等を仕分け、不要なものは片付ける……「いつかやらなくては」と思いつつ、「遺品整理にはまだ早いかも」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

遺品整理の期限は特に定められているわけではありません。しかし遺品整理にまつわるいくつかの期限を超過してしまうと、余分な出費がかかったり、払うべき税金が増えてしまうといったデメリットもあるのです。

ここでは遺品整理のタイミングを決める「4つの手続き」について、その期限や注意すべきポイントを解説していきます。各ポイントについてしっかり理解して、納得できる遺品整理の時期やタイミングについて考えていきましょう。

家賃発生の時期(死亡当月~翌月頃)

チェックポイント 故人は一人暮らし?
故人の住居が賃貸物件(アパート・マンション等)?
故人の死亡により同居家族の転居予定あり?
故人と親族の居住地が離れている?

故人が住んでいたのが賃貸物件だった場合、気をつけたいのが物件の家賃の発生です。故人と大家(管理会社)との間で結ばれた賃貸借契約は、故人の死亡で終了となるわけではありません。

契約時の連帯保証人または法定相続人が借家権(建物を借りる権利)を相続する形となり、同時に、大家側は保証人(または相続人)に賃料・管理費等を請求することができるようになります。

カンタンに言えば、故人の家(部屋)を明け渡すまでは家賃が発生し、それを相続人(家族等)が払わなくてはいけないというわけです。

  • 家賃出費を抑えるために「死亡当月中」に遺品整理
  • 余裕をみて「死亡翌月の月末まで」に遺品整理

故人のお住まいが賃貸物件の場合には、上のいずれかを遺品整理のタイミングとするケースが多い傾向です。

遠方の場合は葬儀直後となることも

故人と親族(相続人)の居住地が離れており、親族による遺品整理がなかなか行えそうにない場合には、「葬儀直後に迅速に遺品整理を行う」というケースも多く見られます。

また最近では「遺品整理のために葬儀後の時間を割けない」ということで、遺品整理の専門業者に外注し、鍵等を預けて作業にあたってもらうケースも増えています。

孤独死等は早い退去を求められやすい

死亡事由が自死等の場合、大家・管理会社側からできるだけ(警察の許可が降り次第)早い退去を求められる場合もあります。また孤独死等でご遺体の発見が遅れた場合等には悪臭の除去等のために特殊清掃を行う必要があるため、こちらも迅速な遺品整理が必要となります。

相続の合意・相続放棄(四十九日頃~死亡後3ヶ月)

チェックポイント 相続人の数が多い?
相続についての話し合いはできている?
遺品整理を行う人についての合意はできている?
相続放棄をする人がいる?

遺品整理のタイミングや期限を考える上で重要になるのが「相続についての合意」「遺品整理についての合意」です。

親族(相続人)が多い場合、親族の誰か一人が合意を得ずに遺品整理を行ってしまうのはトラブルの元となります。「誰が何を相続するのかが把握できているか」「遺品整理を行うことに全員の合意は得られているか」という点をよく確認することが大切です。

  • 四十九日の法要前頃に遺品整理
  • 四十九日の法要後に遺品整理

相続の合意・遺品整理についての合意を得るため、遺品整理の時期は「四十九日の前後」とするケースも多く見られます。法要で親族全員が集まる時に作業ができたり、葬儀直後に比べてキチンと遺品についての合意が得やすいというのもこの時期のメリットです。

四十九日前後は心情的な納得も得やすい

仏教では亡くなった人の魂が四十九日後にこの世を旅立ち、彼岸へとゆくと考えられています。四十九日を過ぎたところでご家族の気持ちも落ち着き、遺品整理等について前向きに考えられるようになったという方も多いです。

相続放棄の期限は3ヶ月

故人の遺産(負の遺産も含む)を相続したくない、相続放棄をしたい……この場合には、遺品整理に携わるのは要注意です。

場合によっては遺品整理をしたことで、相続を承認したと見なされてしまう場合があります。相続放棄をしたい、親族の誰かが相続放棄を検討しているという場合は、早めに弁護士にも相談しておきましょう。

なお相続放棄ができる期限は「故人の死亡を知ってから3ヶ月以内」となっています。

故人の死亡を知ってから3ヶ月を過ぎてしまうと、故人の遺品を相続したことになりますのでご注意ください。

3.準確定申告(死亡後4ヶ月まで)

チェックポイント 故人に給与・退職所得以外の所得が20万以上あった?
故人の給与収入は2,000万円以上?
故人は2箇所以上から給与を得ていた?
故人の公的年金等の収入が400万円以上だった?
故人の年金以外の雑所得が20万円以上あった?
故人が保険金や一時金を受け取っていた?
故人が土地や建物を売ってお金を得ていた?
故人は事業で所得を得ていた?
故人は不動産所得を得ていた?

「準確定申告」とは、亡くなった人の代わりに相続人が確定申告を行うことを意味します。

確定申告とは、カンタンに言えば「一年の間にどれだけお金を得たか」を国に申告するということ。申告した額によって、収めるべき税金が決まります。税金を収めすぎていた場合には、還付金としてお金が戻ってくることもあります。

通常の確定申告は2月16日~3月15日に行いますが、準確定申告の期限は「故人の死亡を知ってから4ヶ月以内」と定められています。この期限を考えて、遺品整理のタイミングを決める必要があります。

所得確認のための遺品整理

上のチェックポイントのいずれかに該当する点がある場合には、相続人が故人にかわって準確定申告を行わなくてなりません。気をつけたいのが「故人が給与所得者(会社員等)だったから確定申告は不要」とは言い切れないという点です。

例えば故人が亡くなった年に生命保険の保険金を受けとっていたり、ネットのフリマアプリ等で20万円以上の雑所得を得ていたという場合には、会社員でも確定申告をしなくてはなりません。

「準確定申告をする必要があるのかどうか?」という点を知るためにも、キチンと遺品整理を行って、故人が亡くなった年の収入のすべてを確認しなくてはならないのです。

相続人全員の署名が必要

準確定申告では、相続人全員が「確定申告付表」に署名を行う必要があります。相続人のうち誰か一人だけが代理で準確定申告を行うというわけにはいきません。

親族が遠方である、相続人同士でなかなか連絡が取れないといった場合、準確定申告の手続き完了までにとても時間がかかってしまうこともあります。早めに遺品整理に取り掛かって、準確定申告の準備をすることが大切です。

4.相続税の申告(死亡後10ヶ月まで)

チェックポイント 土地・建物・財産等を相続する?
相続額が基礎控除額を越える?

遺品整理の期限を考える上で、最も重要と言えるのが「相続税の申告期限」です。相続税とは、亡くなった人の遺産を受け継いだとき、その額が一定の金額を超えている場合に支払う税金のことを言います。

相続によって受け継ぐ財産とは、現金や預金・土地・株式等の他、未払い金や借金等の負債も含まれます。また書画・骨董品・美術品・宝石類等で価値があるものの場合、これも相続財産に含まれるので注意が必要です。

相続税の有無は「基礎控除額」で決まる

故人の遺産を受け継ぐことによって相続税がかかるのかどうかは、「相続額が基礎控除額を越えるかどうか」で決まります。

基礎控除額の計算例

3000万円+(600万円×法定相続人数)=基礎控除額

例えば相続人が3人という場合には、3000万円に600万円×3で1800万円が足されるので、基礎控除額は4800万円という計算になります。相続額がこの額を超えなければ、相続税を支払う必要は無いというわけです。

ちなみに法改正の前(平成26年12月31日以前)の基礎控除額計算では、「5000万円+(1000万×法定相続人数)」というものでした。以前の法律に比べると、基礎控除額がグッと下がってしまったわけですね。それだけ相続税がかかる人が以前に比べて増えた、ということになります。

旧制度の感覚でいたら「無申告」になっていた…というケースもありますので、要注意です。

遺品整理で遺産を明瞭にする

「自分たちの相続額は基礎控除額を超えないから相続税は関係ない」と思っていたのに、後から故人の部屋から通帳が出てきた…このようなトラブルは非常に多く見られます。

また家族が知らなかった株券等の有価証券類、さらには土地・建物の登記簿等が出てきてしまうことも。また上でも解説したとおり、高額な宝飾品や高級車・書画骨董等が相続の対象となることもあります。

遺品整理で故人が残した遺産をきちんと明らかにしておかないと、後になってから「基礎控除額を越える=相続税が発生!」ということにもなりかねないのです。

期限超過や申告漏れにはペナルティ

相続税の申告期限は、上でも述べたとおり「故人が亡くなってから10ヶ月以内」です。

これを越えてからの申告や、申告漏れ等があった場合にはペナルティとして「過少申告加算税」または「無申告加算税」が課せられます。

申告漏れがあると「過少申告加算税」

「過少申告加算税」とは、本来納めるべき税金よりも申告額が少なかった、ということ。遺品整理をキチンとせずに後から相続額が増えたといった場合、たとえ悪気がなかったとしても、脱税をしたのと同じペナルティが課せられてしまうというわけですね。

過少申告加算税の税率

  • 調査通知後に自主的に修正申告した場合:5%~10%
  • 税務調査による更生(具体的な指摘等)の後の申告:10%~15%
申告の遅れや申告忘れは「無申告加算税」

申告が期限を過ぎてしまったり、税務署から通知を受けるまで相続税の申告をしていなかった場合には「無申告」として、より重いペナルティが課せられます。

無申告加算税の税率

  • 期限翌日から調査通知前に申告した場合:5%
  • 調査通知到着後~更生予知前に申告した場合:10%~15%
  • 調査による更生予知の後の申告の場合:15%~20%

相続税の申告をすっかり忘れ、税務署からの通知が来て慌てて対策をしたものの、遺品整理も間に合わずに相続申告が正しくできない……このようなケースだと、実際に払う相続税よりも最大で20%も多い税が加算されてしまうことになります。

遺品整理の期限を考えよう

相続税の申告や準確定申告等の期限を考え、遺品整理を開始する時期を逆算して決めていこうかと考えている人も多いのではないでしょうか。この時の計算で気をつけたいのが、遺品整理の作業や申告の準備にかかる時間です。

自分で行う遺品整理は1ヶ月以上?

遺品整理の「遺品」とは、価値ある財産のみならず、故人が残した衣類や食器・家具・日用品などのすべてを含みます。家具・家電等の大きくかさばるものもありますし、中には分類が難しいもの、処分に困ってしまうもの等もあることでしょう。

ごく簡単に言ってしまえば「ひとり暮らしの荷物全部を片付ける引越し」と同じくらい、またはそれ以上の作業量です。

ご家族だけで遺品整理を行う場合、すべての遺品を仕分けて片付けるには最低でも一週間~10日はかかります。故人の持ち物が多かったり、大型家具を動かせる人が少ない場合、遺品整理に1ヶ月以上がかかるケースも少なくありません。

申告準備の時間も計算しよう

準確定申告や相続税の申告を一から行うには、税金に関する様々な情報を集めるところから行わなくてはなりません。税務署に相談をしながら行いますから、余裕をみて期限の2~3ヶ月前には申告準備に入りたいところです。

また税理士等に依頼をする場合でも、ある程度余裕を持っておいた方が良いでしょう。期限ギリギリになってからの依頼では、税理士の料金(報酬)が高くついてしまうこともあります。

遺品整理業者なら作業は1日

相続税の申告や準確定申告等が迫っている、早く遺品整理に取り掛かりたいけれど時間が無い……このような場合には、専門の遺品整理業者に作業を依頼するのも手です。プロの業者に任せた場合、遺品整理の作業は原則として一日で終わらせることができます。

おわりに

遺品整理の期限について考える4つのポイント、思い当たる点はあったでしょうか?遺品整理の専門業者で無い限り、誰にとっても遺品整理は初めてで慣れない経験です。予定していたよりも時間がかかってしまったり、心情的に作業が進まない……ということも考えられます。

しかし相続税の申告等の期限は、残念ながら家族の心情を慮ってはくれません。後になってから高い加算税をつけられて「こんなはずでは」と後悔することのないよう、できるだけ早い段階を遺品整理の期限と考えることをおすすめします。

 

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