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子どもの遺品整理が辛い…気持ちを整理する6つの方法

子どもの遺品

遺品整理とは、故人が遺した衣類や食器・家具・日用品等の様々な物品を片付けていくことを意味します。一般的に親や年上の親族等の遺品を整理することをイメージする人が多いですが、お子さんの遺品整理を親が行うケースもけして珍しくはありません。

子どもの残した品を片付けていくことは、親にとっては辛いものです。なかなか子どもの遺品整理に取りかかれないまま、時間が過ぎてしまう……という事例も多々あります。どのようにしたら気持ちに整理をつけ、安らかな思いで子どもの遺品整理に取り掛かれるのでしょうか。

ここでは子どもの遺品整理に向けてまず「自分の気持ち」を整理したい人のために、6つの考え方や方法をご紹介していきます。

「遺品整理=全部捨てる」ではない

「遺品整理=子どもの遺品を全部捨てることだ」と思い込んでいませんか?遺品整理に対して大きな抵抗感・罪悪感を持つ人の中には、このような思い込みから抜け出せていない人が大勢居ます。

まずは「遺品整理=全部捨てること」という先入観を手放しましょう。遺品整理とは、故人が残した様々な物品である「遺品」を分類し、不用品だけを処分することを言います。

ここで言う「遺品」とは、必ずしも資産価値があるものばかりではありません。故人の使っていた食器や衣類、書籍、日用品、趣味のコレクション、家具、電化製品等、故人が残したすべてのものが「遺品」となるのです。例えば故人がまだ一度も使っていなかった買い置き品や、歯ブラシ等の日用品、文房具--そのようなものもすべて「遺品」の範疇に入るわけですね。

その中には故人の愛用品でもなければ、思い出となるわけでもない品物も含まれていることでしょう。故人の遺品をまるごと遺すというのは現実的に難しいところですが、「残したいもの」と「不要なもの」をきちんと仕分ければ、大切な「残すべき品」は、今後もずっとご家族が手元に残していくことができるのです。

子どもの遺品を仕分けする

遺品を分類し、整理する方法には様々なものがありますが、ここではその一例をご紹介します。

遺品の分類・仕分け例
  1. 貴重品:現金や通帳、金、登記簿、契約関係書類等、財産・資産に直結するものをまず分類します。取扱や保管には特に注意します。
  2. 思い出の品:写真、手紙、日記、ぬいぐるみ、故人の愛用品等がここに含まれます。最初の分類の段階では、多めに「思い出の品」に分類を行っても構いません。
  3. 形見分け・譲渡予定の品:衣類、書籍、バッグ類等。ご親族やご友人等に形見分けをしたり、譲渡することが決まっている品があればここに分類します。
  4. リサイクルできる品:家電、貴金属品等。親族・知人に譲渡予定は無いが、売却・リサイクル等ができそうな品をここに分類します。
  5. 不用品:食品ゴミ、型の古い家電や古い家具、リネン類、食器等。譲渡やリサイクルが難しいと思われる品は「不用品」となります。
  6. 保留:仕分けの第一段階では分類が難しいものは一旦「保留」とし、作業を進めながら再度分類を行います。

上のように遺品を分類していくと、何を手元に残すのか、何を手放すのかが自分の目でハッキリと確認できます。「すべてを捨てるわけではないのだ」と確認できることで、かえって気持ちがラクになった…という人も少なくありません。

遺品整理と言うと「捨てること、処分すること」と思いがちですが、まずは遺品を仕分けるところから取り掛かってみましょう。

リサイクルで誰かに使ってもらう

子どもの遺品を「捨てる」ということに抵抗感を持つ人は多いことでしょう。そんな時には、リサイクルやリユースに回せる品が無いかを探してみてはいかがでしょうか。

遺品の中で次のような品物は、中古ショップやフリマアプリ等を使うことで、誰かに使ってもらうことができます。

リサイクル・リユースできる品の例 家電(型番が新しいもの)
貴金属品(ジュエリー等)
趣味のコレクション(書籍、CD、フィギュア、ブランド品等)

上のような遺品を「思い出があるから」とまるごと手元に残しておいても、それらをご家族が活発に使うというケースは稀です。

趣味のコレクション等がホコリをかぶり、何年も放置されたことで結局誰も使用できなくなってしまうという事例も多々見られます。

遺した「モノ」が誰にも使われずに朽ちてしまうことは、故人にとっても、モノ自体にとっても悲しむべきことのはず。反対にこれから長く愛用してくれる人の元で遺品が活躍できるのであれば、それは故人にとっても喜ばしいこととなるはずです。

思い出の品として少数を手元に残しておき、その他はリサイクル・リユースとして手放す…このような方法を視野に入れてみるのも手です。

近年ではリサイクルショップと提携し、リユース可能な品をピックアップしてくれる遺品整理業者も登場しています。「一つ一つの品を中古ショップ等に持ち込むのが大変そう」という場合には、このような業者の利用も視野に入れてみると良いでしょう。

大切な品は「遺品供養」をする

「子どもが愛用していた遺品、リサイクルに出せるほどキレイではないけれど、ゴミとして捨てるのはしのびない…」このような時には「遺品供養(いひん-くよう)」をしてみるのも良い手です。

供養(くよう)とは、品物に対して僧が読経をすることで霊をなぐさめ、冥福を祈ることを言います。一般的には「仏壇」や「ご位牌」等を供養するイメージを持つ方が多いですが、実は次のような物品の供養を可能とする寺社も増えています。

供養できる品の一例 仏壇
位牌、仏具
遺影、写真、アルバム
お人形、ぬいぐるみ
愛読書
愛用の衣類
愛用の寝具
愛用の食器
おもちゃ
家具 等

例えば「子どもの愛用していたぬいぐるみがたくさんあるけれど、すべてを手元に置いておくのは難しい」という時には、特に愛用していた1~2個を思い出の品として遺し、残りは物品供養をするという方法も取れるわけです。

きちんとお経をあげてもらうことで、ご家族も遺品を手放す気持ちの区切りがつきやすくなります。法事・弔事でお付き合いのある菩提寺(ぼだいじ)で物品供養が可能な場合もありますので、まずは確認を取ってみましょう。

物品供養の対応は寺社により異なる

物品供養の対応可否、またその供養料については、寺社により大きく対応が異なります。物品供養対応可であることを公開し、供養料等をホームページ上に明記している寺社もありますので、「供養のみ」をそのような寺社に相談するのも良いでしょう。

また近年では、寺社と提携した遺品整理業者も出てきました。「遺品整理と供養を一度に行える」と人気を得ています。

思い出を「より良い形」で残す

子どもの遺品、手元に残したいものが多すぎて管理がしきれない--こんな時には思い出の品をもう一度選定しなおしてみたり、保管の形を考えてみましょう。

例1:トロフィーや学校の品は「写真」で保管

お子さんが獲得したトロフィーや賞状等がたくさんあって、なかなか手放すことができない--こんなご家族もいるはず。また幼稚園や小学校等、お子さんが幼い頃に使っていた品物が物置にしまいっぱなしになっているという人も多いのではないでしょうか。

見ないモノを保管だけし続けるというのも寂しいものです。トロフィーや賞状、学生時代の物品等はスマホ等で写真に撮影し、データや紙焼きにして保管してみてはいかがでしょうか。

「こんなトロフィーや賞状をもらった」という『記憶』を形にして残しておくことにすれば、トロフィーそのものを手放しやすくなることでしょう。

例2:写真を「よりぬきアルバム」に

ご家族で撮影した写真データがディスクに何百枚もある、アルバムが何十冊もあってかさばって困る--こんな時には「全部処分する」のではなく「よりぬきアルバムを作る」という方法を取ってみるのも手です。

写真データの中身をよくチェックしてみると、同じような構図の写真が何枚も入ったままになっていたり、失敗作も紛れているというケースは珍しくありません。「特に良く撮れているもの」「優先して残しておきたいもの」をセレクトすれば、コンパクトかつ美しい形で思い出を残すことができます。

遺品を長く手元に残すために

あふれる程の量の遺品を「思い出の品」として保管していても、きちんと管理をするのはなかなか難しいものです。管理ができずに「見ないまま」になってしまったり、ホコリをかぶらせたままで「ただ、取ってあるだけ」という状態になってしまうケースも珍しくありません。

しかし思い出の品にきちんと優先順位を付けてセレクトすれば、自分の納得のいく形できちんと保管・管理をすることができます。例えば思い出の写真を美しく飾ったり、お子さんの描いた絵を順番に飾っていくといったこともできることでしょう。

思い出の品を適切な量に抑えることは、「思い出をより良い形にして残す」ということに繋がるのです。ご家族がお子様の思い出とより身近な形で寄り添っていくためにも、思い出の品の選定はきちんと行いましょう。

法事等を区切りとする

「子どもの遺品整理に取り掛かりたいけれど、なかなか気持ちの区切りをつけることができない」と悩んでいる方も多いはず。こんな時には一つの目安として「法事」を区切りとしてみるのも手です。

日本における一般的な仏教の考え方では、法事にそれぞれ次のような意味合いがあります。

初七日・四十九日・一周忌・三回忌の意味
  • 初七日(しょなのか):命日も含めた七日後のことを言います。亡くなった方が三途の川(さんずのかわ)のほとりに到着し、これから川を渡るところです。言うなれば「故人がこの世を離れる旅立ちの日」とも考えられます。
  • 四十九日(しじゅうくにち):満中陰(まんちゅういん)とも呼ばれます。初七日を過ぎた霊は、七日毎にさばきを受け、四十九日目にどのような来世に行くかの行き先が決まります。初七日が「この世を離れる日」であるとしたら、四十九日は「さらにその先へと本格的に旅立つ日」であると言えるでしょう。
    また四十九日は「忌明け(きあけ)」とも言い、親族が亡くなった人の冥福を祈る大切な期間「忌中(きちゅう)」の終わりの日でもあります。遺された親族にとっても大きな区切りとなる日なのです。
  • 一周忌(いっしゅうき):故人が亡くなった日(命日)のちょうど一年後の日です。忌中よりさらに長い「喪中(もちゅう)」がこの日をもってあけるため「喪明け(もあけ)」の日でもあります。
    昔は喪中の一年は祝い事等を避けて喪に服すことが通例とされており、その「喪」が終わるのがこの日でした。親族にとって、四十九日の次に故人との別れを深く考える日であると言えるでしょう。
  • 三回忌(さんかいき):亡くなってから満2年、つまり亡くなった翌々年に行う法要です。亡くなった時を「一」と数えますので、三回目の忌となるわけですね。
    四十九日までに来世での行く道が決まると紹介しましたが、百ケ日、一周忌、三回忌の法要でしっかりと追善供養すれば、進むべき道が変わる場合があります。故人の来世の道が良いものであるよう親族が願うのが「三回忌」というわけです。

親族にとっては、遠く離れた故人の「先の道」を考えるという心理的な区切りの日となります。

四十九日、一周忌、三回忌等は、いずれも故人があの世を進んでいく、つまり現世とあらゆる意味で離れていくことを確認する日でもあります。親族にとっては故人のことを懐かしく想いつつも、心理的に別れを告げ、少しずつ現世での営みに戻っていくためのリスタートの日でもあるのです。

このような法事の前後は、親が精神的にも踏ん切りをつけやすく、遺品整理に取り掛かりやすい時期と言えるでしょう。また仏事・法事の際には親族・知人等が集まることから、遺品の分配や譲渡等の話がしやすい、大きな物品の運搬などが行いやすいといったメリットもあります。

「いつ遺品整理を始めようか」と悩んだ時には、このような法事の時期、その前後を目安としてみてはいかがでしょうか。

遺品整理の専門業者に依頼する

ご家庭によっては、様々な理由によってご自身での子どもの遺品整理が勧められないケースも見られます。

自分での遺品整理が難しい例 子どもの遺品に直接触れるのが精神的に辛い
家具等の不用品が大きく、運搬が難しい
子どもの家が遠方で遺品整理に行けない
仕事等が忙しく、遺品整理の時間を作れない 等

このような場合には、専門の遺品整理業者に作業を任せるのも手です。近年では親族の立ち会いなしで、鍵を預けるだけで仕分けから不用品処分まですべてを行ってくれる遺品整理業者も登場しています。

遺品整理業者選びに迷った時には、有資格者である「遺品整理士」が在籍しているかどうかを確認するのもおすすめです。遺品整理士は遺品の仕分けの方法や適切な取扱方法等を熟知しています。

デリケートな対応が必要となる子どもの遺品整理の場合には、特にこのような専門家が在籍する業者を選ぶことが肝心です。

おわりに

子どもの遺品整理は、適切に行うことで、ご家族の心の整理をさらに進めることにも繋がります。「子どもの遺品をすべて捨てる」「子どもとの関わりを忘れてしまうのでは」といった思い込みから離れ、安らかな心で正しく遺品整理の作業を進めていくことが大切です。

「自分達だけでは遺品整理を進めていくことが難しそうだ…」と感じた時には、無理をせずに専門家の手を借りましょう。

 

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