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遺品を捨てることに罪悪感を持たないための4つの対策

遺品を捨てる罪悪感

親や家族が亡くなった後、「遺品」の処分に困っているという人は少なくありません。遺品を捨てることに罪悪感があり、どうしても片付けられない--こんなお悩みをお持ちではありませんか?

「遺品」とは貴金属等の財産(遺産)だけでなく、使っていた家具や衣類・食器等、故人のすべての所有物を意味します。一人のご家族が亡くなられた時の遺品の量は膨大なものです。

「遺品を捨てるのに罪悪感があるから」とすべての遺品を手元に残すことは、残念ながら物理的にも経済的にも難しいことでしょう。ではどのようにしたら、罪悪感を持たずに遺品を捨てられるのでしょうか?

ここでは遺品を手放す時の「罪悪感」についての対策を詳しく解説していきます。

なぜ遺品の処分に罪悪感が生まれるのか

遺品を捨てることに罪悪感
そもそも、なぜ私達は遺品を捨てる時に罪悪感を持つのでしょうか。罪悪感が生まれる理由には、大きく分けて次のような心理的作用があります。

気持ちの整理がついていない

まず考えられるのが「故人が亡くなったことを受け止められているか?」という問題です。遺品を捨てる・処分するということは「故人が亡くなった」という現実をハッキリさせる行動とも言えます。

故人が亡くなったことによる心理的な傷がまだ大きく、死亡を受け入れられていない時は、遺品を捨てることに強い罪悪感や抵抗感が生まれやすい状態なのです。

大切な家族を失ったことを心の中で消化するには、意外と時間がかかります。例えばお葬式の翌日に「では家族の遺品を捨てよう」とすぐに切替ができる人は少ないことでしょう。

仏式の場合、「形見分け」は四十九日法要の時に行われるケースが多いものです。これも「遺品に触れること」に対してある程度は時間を置くことが望まれた結果と言えるかもしれません。

故人との関係性が良好であった
事故等の突然の死であった
故人無しで生きることに不安を感じている
眠れない等の身体的症状が出ている
感情の表現がうまくできない
故人が死んだことに対して現実感が乏しい

特に上のような場合、故人が亡くなったことに対して気持ちの整理がつくまでに時間がかかってしまうことも。心理的な混乱が、遺品を捨てることへの罪悪感に影響している可能性が考えられます。

故人の意向がわからない

「この品は息子に譲りたい」等、遺言書で遺産分配について意向を示す人は少なくありません。しかし遺言書で譲渡先を示している物品は、故人の所有物の中のほんの一部…というケースがほとんどです。

「譲渡先が決まったもの以外はすべて捨てて良い!」とハッキリ書いてある遺言書には、なかなかお目にかかりません。

また突然の事故等による死亡の場合ですと、遺言書そのものが無いケースも多々あります。いずれにしても遺族達は故人の意向がわからず、「遺品を自分たちの判断で捨てて良いのだろうか」という罪悪感に悩まされます。

バチがあたるように感じる

日本人には古来から「モノ」に魂が宿るという考え方が受け継がれてきました。これはヨーロッパやアメリカ等ではほとんど見られない考え方で、さらにアジアの中でも日本特有の観念と考えられています。仏教のみならず儒教・神道等の考え方も影響を及ぼしているのでしょう。

そのため特に仏壇等の宗教関連の品、また故人の愛用品等に対しては、「捨てる」という処分方法を行うことに強い抵抗感を覚える人は少なくありません。

捨てるのはもったいない

遺品に限らず、モノを捨てることそのものに対して「もったいない!」と強く感じる人も大勢居ます。実際にはその品を将来的に使う予定が一切無いにもかかわらず、「いつか使うかも…」という万一の可能性の方を意識して、モノを捨てることに罪悪感が生まれるのです。

もともと人間には、一度獲得したモノを失うことを嫌がる「損失回避」という心理傾向があります。特に次のような性格の人の場合、損失回避の傾向が強いです。

堅実な性格だと思う
リターンの大きさよりリスクの低さを選ぶ
ガンコな方だと思う
新しい価値観を受け入れるのが苦手
自分の決断に自信がない

カンタンに言えば、「ソンをしたくない!」と考える人ほど、モノを捨てずに溜め込んでしまいやすいということ。遺品を捨てる時にも「手放すのはもったいない」という罪悪感を持ちやすいタイプと言えます。

遺品整理の方法を知らない

例えば仏壇や愛用品等は、寺や神社で遺品供養を行ってもらうことも可能です。しかしそれを知らない人からすれば「遺品処分=すべてを捨てる」といった極端なイメージをお持ちになることもしかたがないことでしょう。

遺品整理専門の業者でも無い限り、「家族の遺品整理にあたるのは初めての経験」という人がほとんどのはず。遺品整理に対しての専門知識や経験の不足が、遺品整理への無意識での拒否感や罪悪感を増す一因ともなっています。

遺品を処分するための心理的な対策

遺品の処分
遺品を捨てることに対して罪悪感を持つのは、あなたの優しさのあらわれでもあります。誠実さや協調性の裏返しが「罪悪感」でもあるのですから、罪悪感を持つのはけして悪いことでありません。

しかし罪悪感に飲み込まれていつまでも遺品を処分できなければ、様々な困難が生じてしまいますよね。遺品の処分を実際に始める前に、罪悪感を少しでも減らすための「考え方のヒント」を取り入れてみましょう。

「全部捨てるのではない」と考える

初めて遺品整理を行う時、人は考え方が極端になってしまいがちです。ひとつでも家族の遺品を捨てたら、何もかも捨てることになってしまう--そんな「0か100か」「黒か白か」な考え方になっていませんか?

遺品整理とは、故人の品物をすべて捨てることではありません。思い出の品物等は手元に残し、不要なものや使わないものだけを手放す…その分類をすることが、まず最初の作業なのです。

遺品整理は「捨てること」ではなく「自分の手元に残すものを選ぶこと」であると考えてみましょう。

「数を減らす」と考える

「すべて捨てる」ではなく「数を減らす」という考え方も身につけてみましょう。例えば故人の食器を「思い出の品」として保管するとして、何十個ものコップや皿をすべて並べるのでは、食器棚をまるごと残す必要が出てきてしまいますよね。

しかし「愛用していたマグカップとお茶碗だけを残す」と決めれば、その他の食器を手放して数を減らすことができます。「10個あるものを2個に減らす、5個あるものを1個に減らす」--このような「減らす方法」であれば、「遺品を捨てる」という罪悪感や抵抗感を軽減できるケースも多く見られます。

「誰かに使ってもらう」と考える

「もったいないから」と遺品を長く保管しても、残念ながら遺品の状態をそのまま維持し続けることはできません。

例えば「スマホ」の寿命は3~4年前後。そもそもOSのアップデートに対応できなくなれば「使えない機種」ということになってしまいます。

「いつか使うかも」とスマホやPC(パソコン)、電化製品等を取っておいても、「いつか」が来た頃にはガラクタとなってしまうわけです。これでは保管する場所の分だけ大きなソンですし、モノにとっても可哀想ですよね。

「まだ使えるけれど、我が家では使う予定が無い」…このような遺品を捨てるのが忍びない時には「誰かに使って貰う」という選択肢を取り入れてみてはいかがでしょうか。

現在ではリサイクル先やリユース先を探す方法が増えました。誰かの元で遺品がまたイキイキと活躍できる--これもまた供養の形のひとつと言えます。「捨てるのはもったいない!」と遺品を捨てることに罪悪感を覚えやすい人には、特に良い方法となることでしょう。

「故人の元に送る」と考える

仏教の場合、故人の魂は死後しばらく留め置かれて裁判が行われ、四十九日にはその判決が出て、極楽浄土への旅立ちが始まると考えられています。つまり四十九日の後には、故人の魂はこの世を離れ、「彼岸」へと旅立っていったわけです。

故人の所有物を家族の手元にいつまでも留めずに手放すことで、「故人の元へと送るのだ」と考えてみてはいかがでしょうか。特に愛用していたモノについては処分前に仏壇の前等に飾って弔う、遺品供養をしてあげるといった対策を取るのも手です。

「故人の望むこと」を考える

今度は亡くなられた故人の立場になって考えてみましょう。はたして故人は「遺品処理で家族の生活に負担がかかる」という状況を望むでしょうか?

前述したとおり、故人の遺品とは衣類や家具・家電・食器・日用品等、故人の所有物すべてを指します。人ひとりの所有物は、平均的に2トントラックにも入り切らないほどの量と言われるほどです。

それだけの量の荷物を捨てずに取っておけば、ご遺族はそれらの所有に物理的空間やお金が必要となるだけでなく、遺品の管理にも手間をかけなくてはなりません。

故人はご家族に対して、そのような苦労・負担をすることを望まないことでしょう。ご家族には快適に暮らしてほしい、笑顔で幸せであってほしいと望むはずです。故人の意向について悩んだ時には「のこされた家族が幸せであること」をまず念頭に置くのも大切な考え方と言えます。

罪悪感を持たずに遺品を処分する4つの方法

罪悪感を持たずに遺品を処分する方法
では遺品を捨てる・処分する時に罪悪感を減らすための実践的な方法について解説していきます。

1.遺品を分類し優先順位をつける

まずは遺品のすべてを5種類に分類してみましょう。

1)貴重品

通帳
保険証書
登記簿 等

資産・財産にあたるものは「貴重品」となります。後の財産分与等や相続税等の問題にも関わりますので、貴重品はひとつにまとめて厳重に保管しましょう。

2)思い出の品

故人の写真
日記
愛用品(メガネ、ライター等)

故人を偲ぶために保管する物です。

3)受け継いで使うもの

衣類の一部
日用品の一部 等

家族・親族間等で故人から譲り渡すことが決まっているもの等を分類します。また使用可能な家具・日用品等のうち、明らかにすぐに家族で使うもの等もここに分類します。

4)リサイクル・リユース可能なもの

・貴金属品
型が新しい家電
趣味のコレクション類 等

家族や親族で使う機会が無いが、まだ使えそうなものを分類します。「いつか使うかも」と、3)に含めるのはNG。6ヶ月以内に使用する予定が無いものは、原則として4)リサイクル、または5)の不用品に分類してください。

5)不用品

寝具
汚れた衣類
使わない家具
食器類
古い家電
ゴミ
書き損じの紙 等

汚れがあるもの、製造年が古い物等は原則としてリユース・リサイクルができません。また食器類等はよほど資産価値が高いものでない限りリサイクル不可です。

優先順位をハッキリさせよう
優先順位として、1)~3)は基本的に捨てることはありません。ただし「使う予定が無い品物」「親族間で引き取り手が無いもの」については保管せず、すみやかに4)のリユース・リサイクルに回します。

最速で捨てるのは5)の不用品というわけです。

遺品を分類して優先順位をキチンとつけると「何を捨てるべきなのか」「何を捨てても良いのか」がハッキリと見えてきます。思い出の品をキチンとまとめて保管しておけば、「その他は捨てても大丈夫」という安心感にも繋がり、遺品を捨てる時の罪悪感も軽減します。

2.リサイクルできる方法を探す

家電や貴金属品・コレクション等の遺品については、次のような方法でリユース・リサイクル先を探します。

リサイクルショップに売りに出す
ネットオークションに出品する
フリマアプリに出品する
フリーマーケットに出店する
施設に寄贈する(図書館・博物館・市民会館等)

例えば書籍等の場合、出版5年以内のものであれば寄贈を受け付けてくれる図書館もあります。ただし書架の物量の都合上「引取NG」とする図書館もありますし、寄贈した資料の取り扱い内容は原則として確認できません。

ネットオークションやフリマアプリは最近人気の中古品の取り扱い市場です。ただ基本的に一品ずつの出品となるため、遺品の量が多い場合だと出品手続きに手間がかかる点は考慮しておきましょう。

なおリサイクル・リユースという形での処分は、後述する遺品整理業者にひとまとめに依頼できる場合もあります。

3.遺品供養を依頼する

仏壇
位牌
遺影
人形
ぬいぐるみ
その他愛用品

上のような「保管が難しい遺品だが、捨てるのにはしのびない」というものは、寺・神社等で遺品供養(いひんくよう)を依頼してみましょう。

法事・弔事でお付き合いのある菩提寺に供養をお願いをできる場合もありますので、まずは菩提寺に問い合わせてみては。ただしお寺によっては物品供養の対応がなかったり、供養料が非常に高い場合もあるので、その点には注意が必要です。

現在では物品供養対応を公式サイト上に明記した寺院もあります。そのような寺院に問い合わせてみるのも良いでしょう。また後述する遺品整理業者に。処分と供養をまとめてお願いできるケースもあります。

 

4.遺品整理業者に回収依頼をする

遺品を捨てることに強い罪悪感がある、自分で遺品整理をするのが辛い…そんな時には遺品整理専門の業者に依頼をするのも手です。

解体や搬出もおまかせできる

遺品整理専門の業者であれば、大型家具や物置の解体、搬出等の作業もおまかせできます。「故人が使っていたものを自分で壊すのは辛い」という時でも、第三者に作業してもらうことで罪悪感の軽減に繋がります

リサイクル可能な品をまとめて引取可能

遺品整理業者であれば、リサイクル・リユースが可能な製品はまとめて引き取ってもらえます。ひとつひとつの品をフリマアプリやネットオークションに出すような手間は必要ありません。

「誰かに使って貰える」というリサイクル・リユースであれば、モノを捨てることに抵抗感が強い人にも受け入れてもらいやすいことでしょう。

物品供養が依頼できる遺品整理業者も

近年では寺・神社と提携し、物品供養に対応した遺品整理業者も登場しました。キチンとした僧侶が読経をあげてくれますから、仏壇やご位牌・その他の愛用品等の供養も安心してお願いできます。

業者によっては、供養中の様子を映像データにして送ってくれるところも。遺品が正しく供養されたことがわかれば、遺品処分の罪悪感も軽くなるのではないでしょうか。

遺品整理業者での物品供養は原則オプションサービス扱いですが、料金は公式サイト等で確認できます。一般的なお寺と違って「物品供養にいくらかかるか」がすぐわかるのは、安心できる要素と言えそうです。

立ち会い無しの遺品整理も可能

故人が亡くなってから間もないのに、退出日等の問題で遺品を片付けなくてはならない…このような時は「故人の遺品が並ぶ空間に居ることすら辛い」というご遺族もいらっしゃることでしょう。

遺品整理業者の中には、立ち会い無しで遺品の片付けを進めてくれる業者もあります。お部屋の鍵を渡すだけでOKで、遺品整理の現場に立ち会う必要がありません。

「遺品を捨てる現場に立ち会わない」ということで、罪悪感を減らせたという人も大勢居ます。

おわりに

遺品を捨てることに対する罪悪感は、家族を亡くした誰もが感じる当然の感情です。しかしその罪悪感にとらわれ続けて遺品に囲まれた生活を続けていては、故人も天国から心配してしまうかもしれません。

「自分ひとりではいつまでも遺品を捨てられそうにない…」そんな時には、遺品整理のプロである遺品整理業者に頼ってみることをおすすめします。遺品整理士等の有資格者が在籍する業者であれば、遺品の取り扱いも適切です。プロの手を借りれば、罪悪感を持たずに遺品の処分を進めてゆけることでしょう。

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