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介護施設入居前に!生前整理の方法とコツ

生前整理 アルバム整理する高齢者

老人ホームや高齢者用マンション等、介護施設・福祉施設を利用する高齢者の数は年々増えています。それにつれて、介護施設入居前の生前整理の人気も高まってきました。でも家族の理解が得られなかったり、自分たちでやろうとしたら意外と進まなかったりといった「生前整理が難しい」という声も少なくないようです。

ここでは介護施設に入居する前の方のための生前整理について、その意義やメリット、方法・コツ等を詳しく解説していきます。自分や家族の介護施設・福祉施設の入居が視野に入ってきた時、参考にしてみてくださいね。

生前整理とは?

生前整理とは、自分の遺産(不動産や預金等の貨幣価値のあるもの)に加え、家の中にある家具や家電などの家財類などの状況を把握し、整理して不用品を片付け、スッキリとした状態に整えることを言います。

私達はついつい多くのものを溜め込みがちですが、家財を見直してみると、必要なものは意外と少ないものです。「老いて要不要の判断が難しくなったり、動けなくなったりする前に、自分のものは自分で整理し、より快適にこれからの人生を過ごせるようにしていこう」と考える方が増えたことが、生前整理の人気を後押ししています。

介護施設入居前に生前整理を行うメリット

荷物を正しく厳選
生前整理は50~60代から始めるという人も居ますが、特に介護施設や福祉施設入居前を「生前整理の良いタイミング」とする人が多いです。この理由として、次のようなメリットがある点が挙げられます。

1.施設へ持ち込む荷物を正しく厳選できる

老人ホームや高齢者用マンション等、現在では高齢者向け福祉施設・介護施設は様々な形式を取るようになりました。しかしどのような形式の施設であっても、現在のご自宅と同じレベルで荷物が入ることはほぼ無いですよね。

ハイクラス向けの高齢者用マンションであっても独居用は1K~1DK、ご夫婦で暮らすタイプであっても広さは2K程度が一般的です。つまり介護施設への入居時には、持っていける荷物・家財が大幅に限定されることになります。

今後の施設での暮らしにおいて「何の家財が必要で何が不要か」を正しく判断するのは大切なことです。「自分が何を大切にしているのか」という基準は、意外と自分でも正確にはわかっていないもの。生前整理で事前にご自宅にある家財を見直しブラッシュアップすることで、「何を施設に持っていくべきなのか」の見極めも行いやすくなります。

2.家財の把握を行いやすくなる

「同居の家族がいるが福祉施設に入る」という場合でも、入居前の生前整理には大きなメリットがあります。何を家に残してきたか、家財類の把握を入居した方が行いやすくなるため、家財管理を任せたご家族にも依頼がしやすいのです。

3.帰宅時の安全な動線確保ができる

同居家族がいらっしゃる方の場合、お盆やお正月等に介護施設から一時帰宅をして家族と過ごされるケースもあります。このような場合でも、生前整理をして家を片付けておくのは大切です。家をスッキリとさせておくことで一時帰宅の際にくつろげるだけでなく、安全な動線を確保することで「つまづき」「転倒」といった骨折・怪我のリスクを防げます。

4.家族の負担を減らせる

介護施設に入居する時、いずれくる「自分の亡き後」について思いを巡らせる方は大勢居ます。親が亡くなった時、その家財類を片付け整理していくのは子どもや孫達です。家財類が多ければ多いほど、それだけ家族の肉体的・精神的な負担は嵩むことになります。「子どもや孫の片付けの負担を減らしたい」「少しでも迷惑をかけないようにしたい」といった思いから、介護施設入居のタイミングで大規模な生前整理を行う方も多いです。

介護施設入居前の生前整理の方法

チェックリスト
では実際に介護施設に入居される前に、どのように生前整理を行っていくべきなのか、その方法を順を追って見ていきましょう。

1.まずは「仕分け」から始めよう!

生前整理と言うと「とにかく要らないものを捨てる」と考える方が多いですが、それは少し誤解があります。無計画に手を付けてしまう前に、まずはお部屋の中の品物をすべて仕分け(分類)するところから始めてみましょう。生前整理では何が必要か不要かを先に判断しておくことが大切なのです。

仕分け(分類)の例
ここではすべての荷物や家財を7種類に分類していきます。

1)貴重品
  • 通帳
  • 現金
  • 有価証券等

貨幣価値のあるもの等はひとまとめにしてリストアップし、財産の把握もキチンとしておきます。施設に持っていけない貴重品については、金庫サービスの利用、後見人による管理なども早めに検討した方が良いでしょう。

2)日常生活に必要なもの
  • 普段着
  • 日用品
  • その他生活必需品

現在の日常生活で使っているものの中で、今後の施設生活でも使うものをまとめていきます。

3)1年以内に使用したもの
  • 季節の違うワードローブ
  • 趣味の道具やアイテム
  • 季節性の高い道具 等

趣味の品や季節性の高い道具等については、1年以内に使ったかどうかで要・不要を判断するのも手です。数年以上も使っていない場合には今後も使用する確率が大幅に低いと判断し、不用品(または保留)へと回します。

4)思い出の品
  • 写真、アルバム
  • ご家族の愛用品
  • 記念品 等

思い出の品はボリュームダウンさせることが大切です。例えばトロフィーや盾等の記念品は写真データにまとめるのも手。また家族写真が多い場合には「お気に入りの写真」だけをまとめるようにして、容量を減らしていきます。昔の写真をデジタルデータにするサービスを利用するのも良いでしょう。

5)リサイクル・リユース品
  • 金、貴金属類
  • 型式の良い家電
  • 状態の良い家具 等

もう使う予定は無いが捨てるにはもったいない…例えばまだ比較的新しい家電等は、リサイクル店等で買い取って貰うこともできますね。このような品はリサイクル品・リユース品としてまとめておきます。

5)不用品
  • 古い家電類
  • 不要な家具
  • 着ない衣類
  • 使わない日用品 等

今後の生活で使わないと思われるものについては「不用品」としてまとめます。

6)保留するもの

生前整理では、なかなか要・不要が判断できず、手放すべきかどうか悩んでしまうこともよくあります。こんな時には手を止めず、とりあえず「保留」にする箱やラベルを作っておきましょう。

保留にしたものは、一週間程度の間を置いてもう一度見直してみます。時間を置いて考えることで、自分の納得いくように片付けができるはずです。

2.使えるものは「リサイクル」

もう不要だけれど、捨ててしまうのはしのびない…そのようなものについては、リユース・リサイクルができる店舗やフリマアプリ等で手放すのも手です。

フリマアプリ

近年では「メルカリ」等のフリマアプリが日常的に使われるようになり、不用品を気軽に必要な人に送れるようになりました。ただし原則一個ずつの取引が必要となるため、手間がかかるのがデメリット。ネット利用に長けていて、なおかつ時間に余裕がある方向けの処分方法です。

中古買取店舗

書籍やレコード・中古衣類・骨董品・貴金属類等は中古品の買取店舗がありますので、買取サービスを利用してみましょう。ただしご自宅まで訪問型の買取だとある程度の物量が必要だったり、手数料を取られることもあります。サービス内容をよく確認することが大切です。

【処分とリサイクルをまとめて行う生前整理業者もある】
最近では、生前整理を専門に行う業者の中に、リサイクル店舗と提携して買取を行うところも出てきました。生前整理の際に出る不用品の中で、リサイクル可能な家電や家財は買い取ってくれるのです。

このような業者を選ぶと片付け、リサイクル、不用品処分までが一挙に行えてスピーディに生前整理を済ませられます。また片付け料金から買取料金を相殺できるため、生前整理にかかるコストを抑えることにも繋がります。

3.不用品はスケジュールを考えて処分

不用品はゴミとして処分することになりますが、なんでもすぐに処分できるというわけではありません。お住まいの自治体のゴミ処分ルールをよく確認し、処分するスケジュールをしっかり立てる必要があります。

一般ごみ
  • 可燃ごみ
  • 不燃ごみ
  • 資源ごみ

可燃ごみ・不燃ごみ・資源ごみは、それぞれ正しく分別し、自治体指定の曜日にゴミ集積所に出します。なお自治体や町内会によっては、1回に出せるゴミの量が限定されていることもあります。トラブルを防ぐためにも、キチンと確認しておきましょう。

粗大ごみ

自治体によって粗大ごみ規定は異なりますが、原則として1辺30センチ~40センチを越えるものについては粗大ごみの扱いとなります。自治体によって処分にかかる手数料の有無や価格は異なるので、自治体ホームページ等で確認しましょう。

なおお住まいの市区町村によっては、粗大ごみの回収申し込みから回収までに1ヶ月以上も時間がかかることもあります。自治体による粗大ごみ回収を利用する場合は、早め早めの申込が大切です。

家電リサイクル法対象製品
  • 冷蔵庫
  • エアコン
  • テレビ
  • 洗濯機

冷蔵庫・エアコン・TV・洗濯機等の特定家電類は、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)により、通常のゴミとしての処分ができません。

新規購入(買い替え)予定がある場合には、新製品の購入店舗で旧製品を引き取って貰えますので購入時に依頼をします。

処分のみの場合は、製品を購入した店舗に引取依頼をするのが原則。なお購入店舗が不明の場合や依頼ができない場合の手続き方法は市区町村により異なるため、こちらも早めに自治体ホームページで確認をしておきましょう。

4.物品供養も検討する

  • 仏壇
  • 神棚
  • 人形
  • ぬいぐるみ等

生前整理の規模によっては、大きな仏壇や多数の人形等の処分が必要となることもありますね。しかしこのような品を「ゴミ」として手放すことに抵抗感を示す人も多いです。

仏壇や愛用品等については、粗末に捨てられない物を神社や寺院で供養してもらう「物品供養」を視野に入れてもよいでしょう。お坊様にお経を挙げてもらい、手放す品に感謝の意を示すことで、心から納得して仏壇等を手放せる人も多いです。

ただしお付き合いのある菩提寺で物品供養が可能であれば良いですが、難しい場合には供養可能なお寺や神社を探すことになります。なお現在では神社仏閣と提携し、仏壇等の物品供養が行える生前整理業者も登場しています。「捨てるのが難しい品」をお持ちの方は、このような業者を選んでみるのも良いでしょう。

生前整理を上手に行うコツ

介護施設入居前の生前整理を失敗せずに行うためには、以下のようなコツを押さえることが大切です。

家族間での話し合いをキチンと行う

生前整理で「モノを手放す」ということに対して、最初には抵抗感を示す人も少なくありません。ご家族の間で事前にキチンと話し合いを行い、生前整理の意義やメリットを共有することが大切です。

人手を確保する

家電や家財等の搬出は、引越と同程度かそれ以上の労力が必要となります。ご家族だけで生前整理を行う場合には、まずは男手をできるだけ確保することをおすすめします。

家族だけで行う生前整理は計画にゆとりを

家族内だけで生前整理を進めて行く場合、計画にはかなりのゆとりをもたせることをおすすめします。家族間での「モノを処分する・処分しない」の話し合いには時間がかかりやすいものです。

また感情的なトラブルが発生したり、片付けに疲労して作業が中止されてしまったりと、計画どおりに生前整理が進まないケースは多々あります。また上でも解説したとおり、粗大ごみ等を自分たちだけで処分するのにもなかなか手間がかかるもの。家族間での生前整理には一年程度をかけるのが理想的とも言われるほどなのです。

介護施設の検討や見学等を始める頃には、並行して生前整理に取り掛かるのがベストと言えます。

生前整理の専門業者を使う手も

現在では、荷物・家財類の分類や大型家財の搬出、リサイクル・不用品処分まですべてを一括して行える「生前整理の専門業者」も登場するようになりました。中には介護施設への荷物の運搬も任せられる業者もあります。

  • 上手に荷物が分類できない
  • 片付けが進まない
  • 大きな家財類を動かせない
  • 介護施設の入居が迫っている
  • 家族同士の作業だとケンカになりやすい

このような時には、生前整理の専門業者に作業をおまかせしてみても良いでしょう。生前整理専門業者の場合、片付け作業は原則として1日で終わります。荷物の多い一戸建て住宅の場合でも、2~3日あれば片付けを済ませられる業者がほとんどです。

介護施設への入居前には、その他にも様々な手続きで忙殺されがちなもの。引越作業を引越業者に任せるように、生前整理を生前整理業者に任せるという選択も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

おわりに

介護施設に入居する前の生前整理については、とにかく「自分たちで行う作業を早めにスタートさせること」が重要と言えます。「季節が変わったら」「年が明けたら」等、生前整理を先延ばしにせず、まずは一つの部屋やコーナーを決めて、そこの「仕分け・分類」から始めてみましょう。

 

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